米文学界の最高栄誉とされる全米図書賞の授賞式が11月20日、ニューヨークで行われ、台湾の作家である楊双子さん作、金翎(Lin King)さんが英訳した「台湾漫遊録(邦題:台湾漫遊鉄道のふたり)」が翻訳文学部門を受賞しました。台湾の文学作品としては初の快挙です。
楊双子さんはあいさつで、「台湾人は100年前から『台湾は台湾人の台湾だ』と言っていました。100年前は日本人に対して、現在は中国人に対しての言葉です。台湾は常に、強大で侵略的な国に直面してきました。また、台湾人の中でのナショナルアイデンティティー、エスニックアイデンティティーはとても複雑です。私が書くのは、台湾人とは何者なのかということに答えるため、また、台湾の未来に向かって進むため過去について書きます」と述べました。
米国生まれ台湾育ちの金翎さんは、英訳版「台湾漫遊録」は翻訳文学の本質を探究した作品だと説明。これを機に英語翻訳が、ストーリーの「西洋化」ではなく、原文の精神や意味するところの表現により重きを置くようになることを望むと述べました。
「台湾漫遊録」は2020年、春山出版社から出版され、21年に優れた出版社や創作者に贈られる金鼎奨(Golden Tripod Awards)の文学図書賞を受賞。また、文化部(文化省)の翻訳出版助成事業により、今年11月には米Graywolf Pressから英訳版が出版されました。