文化部(文化省)の海外拠点の一つである駐ロサンゼルス台北経済文化弁事処台湾書院と米文芸翻訳者協会(American Literary Translators Association,ALTA)が共同で、2025年の新進翻訳者メンターシッププログラムを実施。シアトル在住のLya Shafferさんが選ばれ、メンターの金翎(Lin King)さんから9カ月にわたって専門的なアドバイスを受け、作家の張娟芬さんの作品「流氓王信福」の翻訳に挑戦します。
選ばれたLya Shafferさんは、経済学や国際関係、インテリアデザインの研究を経て、台北の国際的デザイン会社で翻訳に従事。文芸翻訳の道を志したのは台湾の詩に対する情熱からです。Lya Shafferさんは、2023年の台湾文芸翻訳ワークショップで、「流氓王信福」の作者である張娟芬さんと会っています。Lya Shafferさんは張娟芬さんについて、下層社会の地位のない人物が司法で受ける不公平な扱いをミクロの視点で描くと同時に、マクロの視点で時代と社会的背景を表現しているとし、この作品は翻訳を通して世界の読者に紹介される価値があると語っています。
Lya Shafferさんの翻訳を指導する金翎さんは、米ペンクラブ(PEN America)の短編小説新人賞を受賞。今までに、「来自清水的孩子(邦題:台湾の少年)」や「台湾漫遊録(邦題:台湾漫遊鉄道のふたり)」といった作品を翻訳しています。このうち、英訳版「台湾漫遊録」は2024年末、米文学界の最高栄誉とされる全米図書賞(National Book Awards)の翻訳文学部門を受賞し、台湾で初めて同賞を受賞した翻訳家となりました。