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彰化の扇形車庫

  • 日付:2024-09-02
彰化の扇形車庫

彰化の扇形車庫は台湾中部・彰化県彰化市の彰化駅北側にあり、国営台湾鉄路が管理しています。この扇形車庫は1922年に造られました。この年は、台湾鉄道の海線が開業した年。彰化駅は山線、海線の分岐点で、列車のメンテナンスや操車の重要拠点であることから、日本統治時代の台湾政府は彰化駅を扇形車庫の設置地に選定しました。「扇形車庫」という名称は、ターンテーブルを中心に車庫が弧を描いて並び、線路が放射状に敷かれ、上から見て扇のように見えるため付いたものです。また、長距離を走ってきた列車が車庫でメンテナンスを受けることから、「機関車の旅館」とも呼ばれます。

 

台湾にはもともと、扇形車庫が台北、新竹、彰化、嘉義、高雄、高雄港の6カ所にありました。しかし、鉄道産業の発展に伴って蒸気機関車が姿を消していったことや都市の発展を背景に、扇形車庫は管理に手がかかり時代の流れに合わないといった理由から、撤去の対象となっていきました。彰化の扇形車庫も1994年、解体の危機に直面しましたが、地域の人々や地元研究者らの努力によって保存が決まり、95年に彰化県の県定古跡とされ、2022年8月1日には国定古跡に昇格しました。この扇形車庫が特に貴重なのは、現在も稼働していること。台湾で唯一残る「生きた」鉄道文化財であり、彰化の人々の誇りとなっています。

 

彰化の扇形車庫は近年、観光客が彰化を訪れた際の必見スポットとなっています。特に日本や欧米の鉄道ファンは、この扇形車庫を見るためだけに台湾に来るほどです。18年6月には日本から百人以上がこの扇形車庫の見学に訪れ、日本の先人が建設した古い施設が、台湾の技術者により保存され、今でもしっかりと稼働する様子を見て大変喜び、「生きた古跡」だと賞賛しました。

 

台湾の鉄道ファンは彰化の扇形車庫について、「国内の蒸気機関車の最後の浄土」と表現します。ここは「生きた」古跡であり、アジアで唯一の現在も稼働する蒸気機関車の扇形修理場。台湾の鉄道の進化史が全て、ここに保存されています。