台湾北部の基隆港から約56キロに位置する火山島である彭佳嶼。彭佳嶼灯台はこの島にあります。彭佳嶼灯台の塔高は26.2メートル。1906年に建設が始まりましたが、強烈な季節風と海象の厳しさで建設資材の運搬が難しく、完成したのは09年7月末、稼働したのは同年9月20日でした。彭佳嶼灯台は日本統治時代としては6基目の完成、点灯となったれんが造りの灯台で、台湾全体では3番目の高さの灯台建築です。今に至るまで百年以上の歴史を持ち、当時は日本と台湾・基隆を結ぶ航路で最も重要な灯台でした。
この灯台は日本の土木技術者、石橋絢彦により設計されたもので、白いれんが造りの円筒形、基部は八角形をしています。台湾では最後まで残っていた灯油ランプの灯台で、93年に電化され、光路長は25.3カイリ(約47キロ)。灯器には、回転式の屈折型フレネルレンズを採用し、レンズの直径は1840ミリで、台湾国内最大直径のものです。この百年以上の歴史を持つ灯台には、西洋式、日本式の灯台建築の技術が見られ、また、当時の光学機器が現在でも完全に保存され、現役で稼働しています。
彭佳嶼灯台は目立つ目標だったため、第2次世界大戦時には、連合国軍の飛行機からの爆撃を4度も受け、灯台の頂上部とレンズには当時掃射を受けた跡が残っています。第2次世界大戦終結後、政府が費用を投じて修復し、運用が再開されて現在まで稼働を続けています。この灯台は日本と台湾を結ぶ航路上にある重要な史跡であり、台湾海運史の重要な生き証人でもあります。また、この灯台は、過去には航海と軍事戦略において重要な意義を持ち、現在では重視されている貴重な歴史的価値があります。
2001年に行われた台湾歴史建築百景を選ぶイベントで、彭佳嶼灯台は第12位に選ばれました。15年11月17日には、基隆市の市定古跡となり、21年12月3日には文化資産審議会が、国定古跡への昇格を承認しました。