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台北郵局

  • 日付:2025-05-07
台北郵局

台北郵局(台北郵便局)は1898年に建てられ、当初は日本式の木造2階建ての建物でした。1913年2月に火災で焼け落ち、同年11月に同じ場所に木造の臨時局舎が建てられました。1928年、日本の建築家である栗山俊一が新たな郵便局の設計に着手し、2年後の1930年、鉄筋コンクリート造り3階建ての台北郵便局と電信局の建物が落成しました。敷地面積は4000坪、当時としては台湾最大の郵便局でした。

 

当時はちょうど近代建築の萌芽期であり、台北郵局にも折衷様式が取り入れられました。例えばファサード(正面から見た外観)上部にはペディメントと呼ばれる装飾が載っており、壁面にはクラシカルな柱頭が設置され、屋内のロビー天井にはコーニス・モールディングと呼ばれる装飾が数多く施されるなど、細部にクラシカルな影響が残っています。建物本体から張り出した1階の車寄せは、五つの半円アーチを持つ柱廊で、非常に壮麗です。当時としては最大の郵便局だったこの建物には、鉄骨構造が使われています。また、建物の外壁は人造石洗い出し仕上げという工法が採用されたほか、当時の現実に合うよう台湾北部・北投の窯で製造された「防空色」の薄い褐色のタイルが使われ、当時の特徴を表しています。

 

1960年代に入ると、監督機関は台北郵局の業務が多忙となり、スペースが足りないという理由から、3階建ての建物に4階部分を増築。さらに、郵便業務車の出入りがしやすいよう、正面の5連アーチの柱廊を撤去しました。当初の切り妻屋根の様式はかろうじて保たれたものの、撤去された柱廊の代わりに深緑色の大理石が貼られた平面的な構造が設置され、元の日本式の洋館建築のスタイルとは異なるものとなりました。

 

1970年代以降、郵便局の営業部門はこの建物の解体計画を進めてきました。しかし、この建物は歴史的な価値が非常に高いことから、台湾の学者や一部の住民から強い反対に遭いました。内政部(内務省)が1992年8月14日、台北郵局を国家三級古跡(現在の市定古跡)に指定したことで、存続か撤去かに関する論争は終結。2000年代に入ると、この建物を管理する機関が態度を変え、台北郵局の建物の当初の姿を保存するため、修復と保護を積極的に行うようになりました。

 

1930年に建設されたこの建物は老朽化が目立ち、1990年代には外壁が傷んで亀裂が入っていました。屋根の木造トラスは腐食してひどい水漏れも生じ、ペディメントの人造石洗い出しで作られた装飾やタイルも剥がれ落ちてきていました。台湾の郵便事業を行う中華郵政は2010年、元の建築物の姿に戻し、古跡の歴史的価値を尊重するべく、全面的に改修して復元することを決定。2014年末、当時の美しい姿が再現された台北郵局は、中華郵政の全郵便局のランドマークとなり、台北市の街並みに彩りを添えました。さらに中華郵政は2019年、台北郵局の車寄せと5連アーチを復元し、同年末までにこの台北市指定古跡の当時の姿を完全に復元すると発表しました。

 

修復が完了した台北郵局の局舎には現在、多くの機関が入居しています。1階と2階は中華郵政の支局である台北北門郵便局となっています。また、国立陽明交通大学の台北北門キャンパスもこの建物の一部を使用。経営学部の経営管理研究科と交通運輸管理学科の修士、博士課程がここに置かれています。郵政博物館台北館もこの建物に入っており、切手などに関する展示が公開されています。