珂拉琪(Collage、コラジ)は台湾人2人組の音楽ユニットで、2019年1月31日に結成されました。メンバーは、ボーカルの夏子・拉里又斯(Natsuko Lariyod)とギターの王家権(Ông Ka-koân)です。多様なジャンルの音楽スタイルを用いるのが特徴で、それはさまざまな要素をコラージュ(Collage)するかのよう。メンバーの二人は、台湾語、アミ族語、日本語と、複数の言語で作詞します。
2020年8月、Collageがネットで発表した新曲「万千花蕊慈母悲哀(Green Tara's Thousands of Sorrowful Blossoms)」は、オリエンタルな曲調と台湾語の歌詞で、白色テロを連想させる情景を描きました。この曲は2年後には、YouTubeで再生回数1000万回を突破しています。表立ったアピールをしていないCollageは公式SNSも持たず、広告宣伝による露出もしていません。しかし、その楽曲は多くの音楽ファンの間で話題になり、共感を呼んでいます。
ボーカルの夏子は日本語の話せるアミ族の女性で、彼女の作る楽曲の歌詞は日本語が中心ですが、「Maliyang (Words)」ではアミ族語も使っています。夏子はこの曲について、アミ族語と日本語を話す原住民(先住民)の祖母を思って書いたものだと語っています。また、台湾の原住民文化が日本の植民地統治の影響を受けていることに対する戸惑いにも向き合ったものだと述べています。
ギターの王家権は、日本の音楽の要素を多分に吸収して創作しており、好みは椎名林檎やRADWIMPSの音楽です。Collageの楽曲を制作する際に参考にしたものの多くは、日本のメタルバンドSiMの作品といいます。王家権が書く歌詞は台湾語が中心です。幼い頃から祖母の話す台湾語を聞いていたとはいえ、現在の社会で使われるのは中国語がほとんどであるため、王家権の台湾語はどうしてもぎこちなくなりがちです。台湾語の楽曲「這該死的拘執佮愛(Stubborn Love in Chains)」、「葬予帰路飛灰猶在(Rather Be Ashes Than Dust)」の2曲はYouTubeで話題になったほか、多くの音楽ファンが台湾語の歌詞の間違いを正したりさまざまな意見を寄せたりしました。王家権はこれを受けて、自身の母語を改めて学び、台湾語の専門家を招いて歌詞を修正し、新バージョンを収録しています。
Collageは2022年、ファーストアルバム「MEmento·MORI」で台湾版グラミー賞といわれるゴールデンメロディーアワード(金曲奨)の新人賞を受賞しました。彼らは受賞後、「民族、言語、ジェンダー、音楽のために努力する人々に音楽をささげたい」と述べています。そして、「もし、私たちの歌によって、皆さんが自身にどのような歴史があるか考え、また、興味の中から自身の答えを見つけ出してそれを実践することにつながれば、それはとても素晴らしいこと」と述べています。