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台湾漫画10年の大きな成果 メディアミックスがますます成熟

  • 日付:2019-09-25
台湾漫画10年の大きな成果 メディアミックスがますます成熟

台湾漫画業界の最高栄誉とされる「ゴールデン・コミック・アワード」(金漫奨)の第10回授賞式が9月25日、台北市内で行われ、若手女性漫画家、星期一回収日さんが、少女同士の恋愛を描いた「粉紅緞帯」で最高賞の年間漫画大賞と少女漫画賞をダブル受賞しました。


金漫奨は台湾の国産漫画の育成を目的として政府が2010年に創設した賞です。年間漫画大賞や少女漫画賞のほか、新人賞や漫画編集賞、特別貢献賞など10部門があります。今年は102件の応募作品の中から24件がノミネートされました。


2部門受賞の粉紅緞帯は2017年に雑誌で連載された作品で、きめ細やかな設定とタッチで描かれる青春ストーリーが好評を得ました。初ノミネートで快挙を成し遂げた星期一回収日さんは報道陣の取材に対し、女性同士の恋愛を描いた商業漫画がなかったことが創作の動機だったと説明。受賞については、台湾で今年同性婚が合法化されたことに呼応する社会的な意義があると語りました。


特別貢献賞には、台湾武侠漫画の草分け的存在である游龍輝さんが選ばれました。游さんは1946年生まれ。17歳で発表した代表作「仇断大別山」が大ヒットし、游さんの名前を冠したファンクラブが35団体作られるほどの人気を博しました。游さんは、50年余り前には子どもに良くないと言われていた漫画が政府に重視され、賞まで設けられるようになるとは夢にも思わなかったと語り、この瞬間を見ることができてうれしいと喜びました。


文化部(文化省)の蕭宗煌政務次長は、鄭麗君部長(文化相)に代わってあいさつし、台湾漫画は最も想像の幅を広げられる「絵で語るアート」だと言及。近年、漫画が台湾文化の前進を牽引するメディアミックスのエンジンになっているとし、「冥戦録」(韋宗成作)と「陰間条例」(Salah-D作)がコラボレーションして舞台化され、9月末に台北市内で上演されることや、阮光民の「用九柑仔店」がドラマ化され、同市内で期間限定店をオープンさせたり、南部・嘉義のロケ地が観光名所になったりしていることを例に挙げて紹介しました。


蔡英文政権は台湾の漫画産業の発展に力を入れており、ACG(アニメ、コミック、ゲーム)産業育成のため3年で6億台湾元(約21億円)規模の大型予算を組んでいます。蕭次長は、台湾のクリエーターに創作活動の場を提供する「漫画基地」や最新技術を用いてACGやVR(仮想現実)、AR(拡張現実)などの分野におけるコンテンツを開発する「IPコンテンツ実験室」が今年設立されたことのほか、来週にはコンテンツ産業への投融資業務を促進する機関「文化コンテンツ策進院」が発足すると紹介。より多くの漫画リメークの機会を生み、台湾の文化コンテンツ産業におけるメディアミックスを推進していくことに意欲を示しました。