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台湾の大御所漫画家・許貿淞さん死去 鄭麗君文化相が哀悼の意

  • 日付:2019-12-09
台湾の大御所漫画家・許貿淞さん死去 鄭麗君文化相が哀悼の意

武侠漫画などを多数手掛けた台湾の漫画家、許貿淞(本名・許松山)さんが7日夜、新北市内の自宅で亡くなりました。82歳でした。

1937年、高雄生まれ。1950~60年代、「神拳流星」「武林皇帝」など数々の武侠漫画で人気を博しました。60年代に入ると、戒厳令を敷いていた国民党政権によって漫画の検閲が強化され、多くの漫画家が業界を離れることを余儀なくされましたが、そんな中でも許さんはギリシャ神話や童話などを題材に創作活動を続け、70年代には宗教漫画を描くかたわら、後進の育成にも尽力しました。

「政府の検閲制度はまるまる1世代の台湾の漫画家の創作を殺した」と嘆き、国民党に抗議の手紙を送ったこともあります。検閲に加えてテレビの普及の波も押し寄せたことで、台湾の漫画業界は衰退し、許さんも苦しい生活を強いられました。87年に戒厳令が解除され、自由に創作できる時代を迎えると、許さんの台湾漫画史への貢献が評価され、2017年には漫画業界で最高栄誉とされる「ゴールデン・コミック・アワード」(金漫奨)で特別貢献賞を受賞しました。

昨年には10年を費やして完成させた大作「佛祖傳」を発表。釈迦の生涯を描いた作品で、出版には文化部(文化省)の支援を受けました。許さんの訃報を受け、鄭麗君文化部長(文化相)は深い哀悼の意を表し、「許さんは生涯創作を続け、後輩を深く啓発しました。台湾のオリジナル漫画の生きる歴史でした」と悼みました。