台湾の歴史ノンフィクション作家、陳柔縉さんが10月18日、亡くなりました。15日に交通事故に遭い、頭を強く打ちました。57歳でした。
1964年、中部・雲林県で生まれました。台湾大学を卒業後、大手紙「聯合報」で政治記者を務めるなどした後、歴史ノンフィクション作家に転身。台湾の庶民の生活史を記した作品で知られ、日本統治時代の台湾や台日間で活躍した人物を紹介する著作も残しました。「日本統治時代の台湾」などは日本語に翻訳されました。台湾出版業界で権威ある賞「ゴールデン・トリポッド・アワード」(金鼎奨)を2回受賞しています。
政治記者として多くの政府要人に接した陳さん。国家や制度に関する「大きな歴史」を考察するのは学者の仕事だとし、日常の中にある歴史こそが好きだとかつてメディアのインタビューで語りました。
陳さんとの突然の別れを惜しむ声が各界から相次いでいます。李永得文化部長(文化相)は、陳さんの作品について、土地に根差し、歴史的に深く掘り下げられたものばかりで、創作のパワーに満ち溢れていたと語りました。
日本の対台湾窓口機関、日本台湾交流協会はフェイスブックで、陳さんの残した多くの作品が、今後も日本と台湾をつなげてくれると信じているとしました。