第91回アカデミー賞長編アニメーション部門にエントリーされた台湾映画「オン ハピネス ロード」(幸福路上)が米アニメ専門サイト「CARTOON BREW」で、「オスカーレースで見過ごせない長編アニメ6作品」の一つに選ばれました。これについて同作のソン・シンイン(宋欣穎)監督は喜びを語りました。
「オン~」は一人の台湾人少女の成長を通じて80年代から現代までの台湾社会の移り変わりを描いた作品です。東京アニメアワードフェスティバル2018でコンペティション長編部門のグランプリを受賞したのをはじめ、世界各地の映画祭で高い評価を受けています。
同サイトは「オン~」について、日本のアニメ監督、高畑勲監督の「おもひでぽろぽろ」や今敏監督の作品を挙げ、これらの「影響力を持つ作品を連想せずにはいられない」と言及。アニメ産業が根付いていない台湾でソン監督が自力でスタジオを立ち上げ、アニメ制作者を集めたことに触れ、「その結果、日本のアニメにスタイルが似た、文化的に特徴のある作品が生まれた。だが、キャラクター設計や場面描写の美的詳細においては台湾らしさが際立っている」と分析しました。
ソン監督は米サイトの評価に対し、高畑監督と今監督の両氏は自身の憧れだとし、確かに大きな影響を受けたと明かしました。また、アニメ産業が発達していない台湾でこのような作品が作れたのは「感動的な物語を紡ぎ出す糧を台湾が与えてくれたから」と語りました。
「見過ごせない6作品」にはこのほか、「夜は短し歩けよ乙女」(湯浅政明監督)や「リズと青い鳥」(山田尚子監督)、2017年に金馬奨長編アニメ賞を受賞した「大世界」(Have a Nice Day、中国・劉健監督)などが選出されています。
アカデミー賞長編アニメ部門には計25作品がエントリーされ、この中から最大5作品がノミネート作品に選ばれます。ノミネート作品は1月22日に発表されます。授賞式は2月24日に米ハリウッドで開催されます。