中華民国(台湾)文化部

がんで亡くなった娘が暮らした台湾の各地を巡り、その風景を描いてきた画家、藤井克之さんの個展「台湾を描く 藤井克之墨彩画展」が3月15日、東京・虎ノ門の台北駐日経済文化代表処台湾文化センターで始まりました。細やかな線で縁取られた水墨画を優しい色使いで彩った作品の数々。藤井さんは描きたい場所がまだ多くあるといい、台湾を再訪する予定だとしています。

長年、うつ病に苦しめられていた娘の小百合さん。台湾に住む友人の誘いで気分転換に旅行したのを機に台湾に魅せられ、移住して日本語教師となりました。台湾で暮らすようになってから病を克服しましたが、新たな人生を歩み始めた矢先に乳がんが発覚。闘病の末、2016年に32歳で亡くなりました。

克之さんが描いた台北市の双城街夜市は、台湾を訪れた際に小百合さんと最初に食事をした場所です。食べたのは臭豆腐。臭いに衝撃を受けましたが、今では好きな食べ物の1つになったそうです。

小百合さんが残した日記を読む勇気がなかなか持てなかったものの、新型コロナウイルス禍で手に取る機会が増えたと克之さんは話します。小百合さんが訪れた場所や好きだった店、いずれにも実際に足を運んで絵にしたいと願っています。

小百合さんが生きていたら、台湾で今ごろどのような日々を送っていただろうかと考えることもあるという克之さん。5月に台湾を再訪する計画を立てています。

同展は来月14日まで開かれます。