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白色テロの被害者、獄中生活を語る 台北国際ブックフェア

  • 日付:2019-02-13
白色テロの被害者、獄中生活を語る 台北国際ブックフェア

本の祭典「台北国際ブックフェア」初日の212日、戒厳令下の台湾で横行した白色テロに関する講座が開かれ、被害者の蔡焜霖さんが東部の離島・緑島の刑務所で過ごした歳月について語りました。蔡さんは仲間が1枚のメモをきっかけに死刑に処された辛い記憶を語り、永遠に忘れることができない心の痛みだと明かしました。

 

1949年に戒厳体制に入った台湾。戒厳令が解かれる87年まで集会や結社、言論の自由などが厳しく制限され、特に50年代初めには当時の国民党政権から反体制派とみなされた多くの人々が投獄、処刑されました。30年生まれの蔡さんは、高校2年生の時に読書会に加入していたことが非合法組織参加に当たるとして50年に懲役10年の判決を受け、51年に受刑者第1陣として、当時水道も電気もなかった緑島に送られました。刑務所では屋外労働に従事し、刑罰としては最も軽い部類だったといいます。

 

受刑者仲間は正義感に富んだ優秀な知識人ばかりで学ぶところが多かったと語る蔡さん。「私にとっては得難い機会で、ある意味幸運だった」といい、苦労や辛さを感じたのは服役中よりもむしろ社会に復帰してからだったと振り返りました。

 

蔡さんは、獄中生活で意気投合した歌好きの友人の非業の死を今も鮮明に記憶していると明かしました。その友人は、中国の愛国歌「歌唱祖国」の歌詞を書いたメモを獄中で同郷の人に回したことがきっかけで、当局に反乱を企んでいるとの疑いを持たれました。本来3年の刑期延長で済むはずが、後に再審が決まり、関係者10人余りが全て死刑判決を受けました。蔡さんは「読書好きで無邪気な若者たちが死刑に処されてしまった」と嘆きます。今でもよく、真夜中に当時のことを思い出しては悲痛な気持ちにさいなまれると語りました。