メインのコンテンツブロックにジャンプします

台湾木彫の大家 | 施鎮洋

  • 日付:2016-12-29
台湾木彫の大家 | 施鎮洋

伝統木彫は2011年、文化部が「文化資産保存法」に基づき、重要伝統工芸美術に指定し、施鎮洋はその保存者に指定されました。


略歴

1946年生まれ、彰化県鹿港鎮在住


2009年、第3回「国家工芸成就奨」受賞、彰化県伝統芸術「伝統木彫」保存者に指定


2011年、全国重要伝統芸術「伝統木彫」保存者に指定

施鎮洋は彰化県鹿港鎮生まれ。父は、当時名の知れた大工だったため、幼少時から自然に木工に触れて育ちました。成長するにつれ、父について寺院の現場を手伝い、実際の作業の中で技術を身に着けていきました。


そして、寺院の建立や修復作業を通して、建築構造や指物細工、装飾を重視した彫刻など、木工全般の様々な技術を磨きました。


施鎮洋の伝統木彫の代表作は、鹿港の施姓大祠堂です。古跡修復・保護の面では、鹿港城隍廟。古美術品修復では、彰化元清観の百年ものの神輿が秀逸です。


また、施鎮洋は長年、伝承活動に携わっており、逢甲大学や雲林科技大学、台南芸術大学などで授業を行っています。近年の作品は多くはありませんが、作風は複雑で写実的なものから、簡素で印象主義的なものに変わってきています。


施鎮洋は1992年、教育部の「民族芸術薪伝奨」を受賞。2012年には、「重要伝統工芸美術伝習計画」の伝統木彫伝承で重要な役割を担い、弟子には、呉適為、羅又睿、施懿紋の3人がいます。このうち、施懿紋は施鎮洋の次女です。


代表作/功績



四季六屏

施鎮洋

制作年/2010年

サイズ/114×30×3cm

材質/台湾牛樟、台湾ヒノキ

技法/陰刻技法、笑竹刻法

四季を代表する梅、蘭、菊、竹が描かれた古典味あふれる作品。移り変わる四季が常に安穏であることが表現されています。両端の対句は「笑竹刻法」が用いられており、書体の美しさが表現されています。



富貴白頭

施鎮洋

制作年/2009年

サイズ/49×88.5×6cm

材質/台湾牛樟、台湾ヒノキ

技法/透かし彫り

透かし彫りにすることで、古くからの技術「内枝外葉」による奥行きが表現されていることが特徴。春に咲く牡丹は「百花の王」とされ、「富貴花」という名前もあります。枝にとまる一対のシロガシラは、中国語で「白頭翁」と書くことから、長寿を意味します。この作品は、長寿で、末永く添い遂げ、豊かに過ごせるようにとの意味があります。