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イラストレーター、ジミー・リャオ

  • 日付:2018-08-27
イラストレーター、ジミー・リャオ

ジミーは台湾の著名なイラストレーターです。1998年に初めてオリジナルの絵本を出版し、台湾ではまだ、絵本を読む習慣が根付いていない中、大人向けの絵本というスタイルを切り開きました。ジミーは、イラストをさわやかで新鮮な言葉に作り上げ、作品には、滑らかで詩的な味わいのあるイメージが紡ぎ出されています。その作品は広く好まれ、米国、ドイツ、フランス、ギリシャ、韓国、日本、タイなど多くの国でも出版され、ジミーは台湾で最も影響力のある絵本作家といわれています。

 

1958年11月15日、台湾北東部の宜蘭生まれで、本名は廖福彬。ペンネームのジミーは、彼の英語名であるJimmyから取りました。中国文化大学美術学科を卒業後、広告会社で12年勤務し、その後、新聞や雑誌などでイラストを制作。1995年、急性白血病を発症した際、絵を描くことで、入院中の恐怖心に打ち勝ち、気を紛らわせ、治療を続けました。

 

白血病を乗り越えたジミーは1998年、40歳から創作の道に入り、文字とイラストを組み合わせて、思いを描写する手法を取り入れます。1998年、最初の絵本『森林裡的秘密』(日本語タイトル:森の中の秘密)、『微笑的魚』(ほほえむ魚)の2冊を台湾で出版。台湾の新聞社が実施する文学賞、「中国時報」の「開巻最佳童書」、「民生報」の「好書大家読年度最佳童書」、「聯合報」の「読書人最佳童書奨」といった賞を受賞し、本格的に絵本作家としての道を歩み始めます。翌年出版した『向左走向右走』(君のいる場所)は、老舗書店、金石堂書店の「1999年十大最具影響力的書(最も影響力ある十大書籍)」に選出され、ミュージカルや映画、テレビドラマにもなりました。


2001年出版の『地下鉄』(地下鉄)もミュージカル、ドラマ、アニメになっています。『微笑的魚』は2005年、アニメ化され、第29回香港国際映画祭の酔藍都会短片大賞と、第56回ベルリン国際映画祭のジェネレーション部門特別賞を受賞。『星空』は2011年に映画になっています。

 

ジミーの作風は、緻密で細やかな絵に、詩的な文字を載せて、都会の人々の思いやファンタジー、夢を描き出すものです。絵と文字が絶妙に調和したジミーの作品。絵を中心として、文字が補助的な役割を担うスタイルが、幼い頃から漫画に慣れ親しんだ現代人のニーズに合いました。また、ジミーが描く物語は、大人の童話として、忙しい現代社会において、人々の共鳴を呼び、多くの読者を引き付けました。

 

2008年から2014年にかけてジミーは、台湾、香港、中国での大型巡回展を多く成功させ、パブリックアート設置という経験も得ました。そうした作品には、近年広く好評を博した台湾北東部・宜蘭のジミー文化ギャラリー、南部・台南の南部サイエンスパーク台積電ジミー公園、台北の信義房屋ジミー・ムーンバスなどがあり、ジミーの物語における美的感覚や哲学、環境、場の対話と、現地のエコロジーをリンクさせた、絵本とアートに親しむための最高の媒体となっています。

 

2015年、ジミーは、新潟県・越後妻有で開催された「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」に招かれて参加。2011年の東日本大震災を思って、絵本『忘記親一下』(幸せのきっぷ)を創作しました。また、屋外オブジェも2つ制作し、新潟県にジミーブームを巻き起こしました。