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桃園台地の陂塘

桃園台地の陂塘

基本説明 

対象地域:桃園台地全域。桃園台地は桃園市にあり、台北盆地と林口台地の西、湖口台地と関西台地の東に位置します。
桃園市のうち、雪山山脈にあたる復興区と林口台地にあたる亀山区東部以外はすべて、桃園台地に属します。過去には桃澗平原、桃澗平野などと呼ばれた時代もありました。


環境紹介

桃園台地の陂塘は、形状や立地環境がそれぞれ異なるため、生息する鳥類や水生植物、湿生植物、陸上植物の種類もそれぞれ異なります。このため、生態系指標調査を行い、生態系における種と生息地の関係を把握します(行政院環境保護署、2003)。過去の文献を照らし合わせると、陂塘の環境管理に関する指標研究は鳥類の多様性調査を基礎としていること、また台湾の環境保全のために現時点で最も求められているのは鳥類の同時調査であることが分かります。桃園には鳥類が多く生息し、海抜0メートル地点から3000メートル地点に至るまで生息の痕跡が見られます。生息環境は多様で、とりわけ石門ダム、陂塘の水辺、沿海地域に生息地点が最も多く見られます。都市部や水田、平原、森林、渓流などでも生息しているのですが、桃園で重要野鳥生息地(IBA)の調査が行われたのは沿海部の大坪頂と許サク港の2カ所のみで、1400カ所も存在する陂塘は重要野鳥生息地として指定されていないのです。大坪頂は高速道路の開通や水田の荒廃が鳥類の生息地を脅かし、許サク港は工業地に近く、付近の海洋汚染が深刻となり鳥類の生息地に悪影響があります。(サク=がんだれに昔)


陂塘では季節によって生息する鳥の種類が異なります。秋から冬への変わり目(11月)はサギ科の姿が多く、冬(12月)に入ると南下してきたカモ科の渡り鳥が増えます。そのうちサギ科は、陂塘に棲むエビや水生昆虫、両生類などを主なエサとし、陂塘の周辺でも陸生昆虫や節足動物、軟体動物(カタツムリなどの腹足類)を見つけて食べます。一方、カモ科は陂塘に棲みながら、周辺の水田や雑穀畑、渓流、窪地や沼地の植物(葉っぱ、木の新芽、種)或いは動物(カタツムリや昆虫)を主なエサとし、陂塘の小エビも時折食べます。シギ科は砂地を好み、果実、昆虫、小エビ、小カタツムリなどを食べます。エサは陂塘の生き物にこだわりません(方偉宏ほか、2003)。


選出理由 
近年の人口増加や商工業の発展にともない、かんがい機能を失った陂塘の一部は埋立地となり、学校や住宅地、地方政府庁舎、空港が次々と建設されたものの、現在もなお約3000カ所の陂塘が残されており、桃園台地における水利かんがい目的の特殊な土地利用法を示すものです。これら数千もの広く分布する人造湖は地域住民の生活と密接な関係があり、世界遺産登録基準第5項を満たしています。