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玉山国家公園

玉山国家公園

基本説明

方位:玉山国家公園の地図上の正確な位置と地理座標は、台湾島の中央地帯にあり、北は濁水渓が流れ、雪山山脈とつながり、南投県に近く、郡大渓が中央山脈との境界になっています。西は沙里仙渓、楠梓仙渓が阿里山山脈と隣接しています。
対象地域:玉山国家公園の範囲は、東は馬利加南山から、喀西バツ南山、玉里山の主稜線まで。南は新康山、三叉山から、塔関山、関山まで。西は梅山村の西側渓谷沿いにある楠渓林道の西側稜線から鹿林山、同富山まで。北は東埔村第一鄰の北側渓谷から郡大山稜線に至るラインと、さらに順哈伊拉羅渓から馬利加南山の北峰までです。総面積は合計10万3121.4ヘクタールとなります。(バツ=巾へんに白)


環境紹介

玉山国家公園は台湾の中央にあります。その最も古い地層は、中央山脈の東側にある変成岩からなる基盤岩「大南澳雑岩」です。これは、台湾でも最古の地層と言われています。主な岩石は、黒色片岩、緑色片岩、珪質片岩、大理石などです。このエリアは、フィリピン海プレートとユーラシアプレートが何度となく衝突した影響で、岩質がもろく、断層や節理、褶曲(しゅうきょく)などの地質構造が非常に発達しています。変成作用によって岩石のへき開や片理(へんり)などが極めて顕著に表れています。また、これは風化に対する抵抗能力も大きく下げており、大峭壁、向陽山崩壁、金門ドウ断崖、関山大断崖など、壮観な崩壊地や断崖地形の数々を作り上げています。(山へんに同)


玉山国家公園では、高度差が気温に変化を与えるため、気候に応じた多種多様な植物が生息しており、熱帯、暖帯、温帯、寒帯のそれぞれの気候の森林帯が存在します。海抜の低い場所には広葉樹林が広がり、広葉樹林と針葉樹林が共存する場所を経て、海抜の高いところに至ると針葉樹林が広がっています。このように、完全な森林生態系を有することから、玉山国家公園の植生状況は、台湾の植生状況の縮図といってもいいでしょう。


玉山国家公園には山々が広がり、典型的な山岳型国家公園となっています。同公園内には、玉山の主峰のほか、その周辺に標高の高い山々がそびえ立っています。標高3000メートルを超え、台湾百岳(日本の「日本百名山」に相当)に挙げられる山としては、秀姑巒山、馬博拉斯山、新康山、関山など30座に上ります。プレートの衝突によって地殻が隆起、褶曲して形成された地形のため、同公園内には山々がそびえ立ち、渓谷が縦横に広がっています。こうした複雑な地形が、熱帯、暖帯、温帯、寒帯の4つの気候に適した森林帯を作り出しました。植物の種類は、標高が上がるにつれて変化していきます。同公園内には台湾に存在する原生植物の半数以上が生息しています。こうした特色ある環境は、野生動物たちにも絶好の生息環境を提供しています。


調査によると、玉山国家公園内には少なくとも哺乳類34種が生息しています。これは、台湾に生息する哺乳類全体の54.8%を占めます。そのうち8種類は台湾固有種です。中でもタイワンザル、キョン、タイワンカモシカなどは、同公園内の至るところで見ることができます。鳥類は151種で、うち台湾固有種は15種です。中でもサンケイやミカドキジは、絶滅の危機に瀕している世界の鳥類リストに加えられています。爬虫類の種類と個体数は標高が高いためいずれも極めて少なく合計17種となっています。そのうちヘビ類13種、トカゲ類4種です。うちアリサンハブやザウテルヘビ、スインホーキノボリトカゲが台湾固有種です。また、410種のチョウが生息し、「チョウの王国」と称される台湾ですが、その半数以上となる228種(56%)が玉山国家公園に生息しています。しかも、大変貴重なことに、台湾固有種のチョウは約50種いますが、そのうち玉山で発見されたものは32種に達し、実に全体の64%以上を占めます。


選出理由

中央山脈は「台湾の屋根」と呼ばれます。玉山国家公園は玉山山脈と中央山脈の最高地帯にあり、典型的な高山型国家公園となっています。この地域には高山がそびえ立ち、渓谷は深く険しく、地形や地質も複雑で、多様な森林生態系を育んでいます。玉山は、台湾本島における最高峰であるばかりでなく、北東アジアにおいても最も高い山であり、世界遺産登録基準第7項に合致します。
玉山国家公園はプレート運動の影響を受け、岩質は脆弱で崩れやすく、それによっていくつもの危険な地質景観を作り出しています。それに加えて特殊な気候によって受けた侵食作用により、あちこちに壮観な滝の光景を見ることができますことから、世界遺産登録基準第9項に合致します。
また、豊富な林相を持ち、標高の差が大きいという特色が、野生動物たちに良好な生息環境を与えています。このため、この一帯に生息する動物の種類や個体数は非常に多く、互いに依存関係を築き上げており、世界遺産登録基準第10項に合致します。