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一、序言


「国家言語発展法」は2019年1月9日に施行されました。当部は本法が規定する事項に従って、国家言語の保存や復興といった業務を着実に推進していきます。

二、戦略


国家言語に関わる仕事は主に、台湾固有のエスニックグループそれぞれの自然言語と台湾手話の伝承、復興、発展を保障することです。しかしながら、国家言語に関する全体的な業務は、さまざまなレベルに及び、教育や文化伝承、保健福祉、通信放送、内政、交通といった行政部門がともに協調、実行してこそ、言語の活力が効果的に高まり、現在直面している言語断絶の危機改善が可能となります。そこで当部は、国家言語発展法の施行細則を慎重に検討し、まずは各機関の業務に基づいて、目的事業の担当機関それぞれの職権と責任を振り分け、今後の業務実施の方向性を明確にします。また、複合的な業務については協議を行い、関連業務と保障をともに推進していきます。

三、Q&A


(一)「国家言語発展法」立法の目的は何ですか?

【台湾のエスニックグループそれぞれの言語の持続に対する責任を担い、多様、寛容、尊重といった国の文化的価値を確実なものとしていくことです】

「国家言語発展法」は、我が国の言語文化の多様性を尊重するため、台湾固有のエスニックグループそれぞれの自然言語と台湾手話の伝承、復興、発展を保障することを明確に定めています。本法の目指すところは、多様な言語文化の発展を伝承、維持し、エスニックグループそれぞれの母語使用者の教育、伝播、公共サービスを受ける権利を保障することで、全ての国民が、自らの母語を使用することを誇りに思えるようにすることです。政府は今後、それぞれの言語の復興、伝承、発展を全力でサポートします。

「国家言語発展法」立法の精神は、伝承の危機に直面するエスニックグループの言語の保存、復興、平等発展を確実に保障することであり、「公用語」を定めるのではなく、多様な言語の保存と文化の持続的な発展という観点から計画されたものです。台湾固有のエスニックグループそれぞれが使用する自然言語と台湾手話全ての伝承と発展が保障され、「言語の消滅、断絶」の危機を着実に改善し、台湾の各エスニックグループの歴史と文化が、世代を超えて伝承され、この土地の文化が豊かになることを期待するものです。

(二)「国家言語発展法」と「先住民族言語発展法」「客家基本法」の関連性は何ですか?

【相互支持を原則として、伝承の危機に直面する全ての国家言語を保障することです】

「先住民族言語発展法」が2017年6月に、「客家基本法」改正法が2018年1月に公布、施行されたため、先住民族の言語と客家語は「国家言語」と明確に定められましたが、先住民族の言語と客家語以外の「国家言語」については、復興や保存に関する法的根拠がありませんでした。台湾社会の多様な言語文化と各エスニックグループの言語の共栄発展を保障するため、文化部(文化省)は特別に「国家言語発展法」を制定し、台湾固有のエスニックグループそれぞれの自然言語と台湾手話が全て、平等に復興・発展できるよう、国家言語政策の全体的な基本方針を定めました。

(三)「国家言語発展法」はなぜ国家言語の名称を規定しないのですか?

【エスニックグループの選択と習慣を尊重し、エスニックグループの文化の調和を促進するためです】

「国家言語発展法」は、法律によってエスニックグループそれぞれの言語の名称を明記していません。それは、各エスニックグループの使用者がいつも使用している命名の権利を尊重するためです。また、現在の台湾では、例えば平埔族などのように、国からの承認を目指しているエスニックグループもあるため、総括的な立法とし、エスニックグループが承認された後、そのエスニックグループの言語が保障の対象となるようにしています。

また、言語の名称は今後、施行細則の制定時に、持続的な調査研究を経て、各方面の意見を広く取り入れ、合意形成を行った後に、「互いを代弁するもの」ではなく、「多文化共生」を原則として、名称それぞれが意味するところを慎重に位置付します。

(四)「国家言語発展法」の重要なポイントは何ですか?

【国家言語の伝承と復興、発展に関連する保障措置を強化することです】

本法の重要ポイントは次のことに関する規定です。政府による国家言語発展会議の定期開催、伝承の危機に直面する国家言語の伝承と復興に関する措置の優先推進、国家言語に関する調査メカニズムとデータベース構築、学齢前の国家言語学習機会の保障、国民基本教育の各段階における国家言語のカリキュラム計画と学習資源の整備、国家言語の伝播権保障、民間による国家言語の推進に対する補助、奨励。

また、現在、本土の各エスニックグループの言語消失問題が日増しに深刻化し、言語の復興が急務となっていることに鑑み、本法案は、「エスニックグループの調和増進」及び「言語文化平等の尊重と多様な発展」といった面から設計し、条項の内容に「伝承の危機に直面する国家言語」の保障措置を多く盛り込み、社会全体が言語文化の保存と発展に関する課題に対して、共に努力していくことを期待しています。当部は今後、さらに、関連省庁(中央の各担当機関)とともに、施行細則を検討し、より具体的な関連措置を推進していきます。


(五)現行の学習指導要領で使用されている国語(文)は国家言語ですか?各国家言語を教育部(教育省)指定カリキュラムに含める計画と日程はどうなっていますか?

【各関係省庁が手順に従って慎重に協議・検討し、学生の母語能力向上と教育を受ける権利を尊重しなければなりません】

「国家言語発展法」第三条では、「本法が国家言語と呼ぶものは、台湾固有のエスニックグループそれぞれが使用する自然言語と台湾手話」と規定しており、本法は、台湾固有の各エスニックグループ(澎湖、金門、馬祖、緑島、蘭嶼などの離島を含む)が使用する自然言語の法的地位を認めているため、現行の課程綱要(学習指導要領に相当)で使用している国語(文)も国家言語の一つということになります。
 
今後、小学校、中学校、高校を合わせた準義務教育制度である十二年国民基本教育の各段階において、国家言語を教育部指定カリキュラムに含める計画については、本法第18条が定める「十二年国民基本教育の学習指導要領の大綱は、小学校、中学校、高校の一年生から適用し、その三年後に施行する」という規定に従う必要があります。

教育部によると、国家言語を教育部指定カリキュラムに含めることについては、学習指導要領の大綱と分野別の要領を見直さなければならず、教科書の編集、審査といった関連事項も合わせて行う必要があるため、子細に検討しなければなりません。今後、学生の教育を受ける権利、選択する権利の保障を原則として、学生が国家言語を学ぶのに適した履修方法や適切な授業時間を制定するため、関係省庁や地方の教育監督機関と、関連する内容や規定を検討します。また、教員育成や教育資源の充実も積極的に進めます。現時点での全体的な実施スケジュールと計画は次の通りです。

1. 学習指導要領の検討、審議から公布までの段階:2019年7月から2020年11月。

2. 教科書編集から使用までの段階:2020年11月から2022年8月。

3. 各教育段階で、教育部指定カリキュラムでの国家言語授業実施スケジュール:国民小学校、中学校、高校のいずれも2022年度から段階的に実施。

(六)「国家言語発展法」は、政府が国家言語の標準化表記体系を制定すると規定していますが、その内容はどのようなもので、どのように実施されますか?

【本法案は国民の表記方法を制限するものではなく、既存の表記体系を効果的にとりまとめるため、多様性を併存させる方法で、参照標準を検討します】

本法は、政府が標準化表記体系を制定すると規定しており、その目的は、国家言語を適切に記録、保存することです。そのため、政府が民間との協力により、各国家言語の表記体系の参照標準を検討すると規定しています。これには、一般的な国家言語の文字表記、表音文字、コンピューター入力やその他の表現方法などが含まれますが、国民の表記方法を制限するものではなく、多様な方法を併存させるものです。各国家言語を確実に保存するため、中央の各担当機関は今後、教育部の計画に緊密に協力していきます。

(七)「国家言語発展法」は、国民が行政、立法、司法の手続きを行う際、使用する国家言語を自由に選べ、政府機関は必要な時に通訳サービスを提供すると規定していますが、実務上これは可能でしょうか?

【各政府機関は、国家言語それぞれの使用者の権利を保障するため、その土地の事情に合わせた対応をとります】

「国家言語発展法」は、国民が使用する国家言語を自由に選ぶ権利を保障するため、「市民的及び政治的権利に関する国際規約」第十四条の主旨も参考として、国民が政府の行政、立法、司法の手続きを行う際、選んだ国家言語を使用できるようにし、また、政府は必要なときに通訳を提供することとしています。ただし、各エスニックグループの使用者の権利を保障するため、各政府機関はその土地に合わせた対応をとることになり、どの場合においても全ての国家言語が同じように扱われるというわけではありません。各政府機関が、最適な住民サービスを行い、本条の規定に確実に沿えるよう、まずは不確定概念を用いており、各政府機関が、その業務、マンパワー、予算などの状況に応じて、必要な時に最適なサービスを提供します。同時に、サービスの品質と効果を高めるため、政府が各国家言語の通訳人材を積極的に育成することを規定しています。

(八)「国家言語発展法」が規定する各担当機関の職権と責任はどのように分担されますか?

【各省庁と確実に協議し、施行細則で明確に定めます】

国家言語に関わる仕事は主に、台湾固有のエスニックグループそれぞれの自然言語と台湾手話の伝承、復興、発展を保障することですが、国家言語に関する全体的な業務は、さまざまなレベルに及びます。本法第7~15条の規定では、各国家言語に対して保障措置を行うとしており、教育や文化伝承、保健福祉、通信放送、内政、交通といった行政部門がともに協調、実行することで、言語の活力が効果的に高まり、現在直面している言語断絶の危機改善が可能となります。こうした業務は、多様なエスニックグループや専門的、地域的な言語の現況、ニーズといった多くの特有の課題に関わるため、全般的な検討や、資源分配と協力メカニズムの構築が必要となります。万全を期すため、当部は今後、政府が提供するべき国家言語の公共サービスとそれに関連する措置の充実に向けて、関連省庁との協議を進めます。

(九)「国家言語発展法」には、なぜ新住民の言語が含まれないのですか?

【本法の位置付けに関わる問題ですが、積極的にサポートする関連措置があります】

台湾人と結婚して台湾に移り住んだ海外出身者である「新住民」の言語は一般的に移民言語に属し、その性質は「国家言語発展法」で規定する「台湾固有のエスニックグループそれぞれが使用する自然言語」という定義には当てはまりません。世界各国の言語政策を総合的にみてみると、移民言語に対する権利を保障する法令や規定は多くみられますが、移民言語を本国の国家言語に定めていることはまれです。しかし、国際的な人権平等の原則に基づき、我が国は当然、新住民が母語を使用する権利を尊重し、新住民が台湾の各国家言語を学習することを積極的にサポートして、彼らが早期に台湾文化を理解し、台湾に溶け込めるようにします。また、彼らとともに、友好的で多様な言語環境を作っていきます。