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蘭嶼集落と自然景観

蘭嶼集落と自然景観

基本説明

方位:地図上の正確な位置と地理座標は台湾本島南東の太平洋上にあって、台東から約49カイリの場所にあります。また、緑島からは南に40カイリ、台湾最南端の鵝鑾鼻からは北東に41カイリ離れており、はるか南にはフィリピンのバタン島があります。

対象地域:蘭嶼は旧称を紅頭嶼とし、同島に居住する先住民ヤミ(タオ)族からはPonso No Tauoと呼ばれています。島の形は握りこぶしに似ていて、全周約38.5キロメートル、面積は満潮時で約45.74平方キロメートル、干潮時はそれより2平方キロメートルほど広くなります。近隣の離島である緑島の2.8倍の大きさで、古い火山岩体の島です。


環境紹介

蘭嶼は台湾とフィリピンの間にあるルソン島の海嶺上にある海底噴火でできた火山島です。地層は角閃石を含む安山岩質溶岩と玄武岩質の集塊岩が主です。島の主な岩体は中新世初期に火山活動によってできたもので、主に安山岩と安山岩質集塊岩でできています。母岩の地質は固いため、島内の山は高く切り立っており、山岳・台地も広がっています。海抜400メートルを超える丘は10座、500メートル以上は2座あり、主峰の紅頭山は海抜548メートルに達します。蘭嶼の海岸ではサンゴが多く見られ、裾礁が形成されています。東岸と北岸の隆起したサンゴ礁は幅が非常に広く、海岸の岩石は海水によって激しく侵食され、絶壁や海食洞といった特殊な景観を形成しています。


蘭嶼は高温多湿な熱帯性気候に属しており、気候形態の特徴は驟雨と強風です。生物は環境資源を効率よく利用しており、多種多様な動植物が生息しています。生息が確認されているのは哺乳類6種、鳥類101種(留鳥24種、渡り鳥77種)、爬虫類15種、両生類3種、昆虫約400種です。希少種や固有種も非常に多く、哺乳類の固有種は2種、鳥類では希少種が3種います。珍しいものには、リュウキュウコノハズクやズアカアオバト、サンコウチョウがいます。また、オジロビタキやギンムクドリ、クロツグミも希少種です。


このほか、両生爬虫類には固有種が2種います。チョウ類では、代表的なものはコウトウキシタアゲハ、ナミエシロチョウ、黒脈白斑蝶(Danaus melanippus edmondii)、コウトウシロシタセセリなどです。その中で、コウトウキシタアゲハはエサとしているウマノスズクサが生薬として薬草業者に乱獲されたことと、チョウそのものが人類に過度に捕獲されたため、現在では台湾に生息する希少なチョウ4種のうちの1種となっています。区域内に分布するチョウは多くが台湾本島の種類と同様であり、一部は琉球系のものと似ています。また、9種はフィリピン系のチョウ類です。このため、この区域は台湾本島と近隣地域の昆虫生理学を研究するのに理想的な場所だと言えます。


蘭嶼の海域は黒潮が北へ流れる通り道にあります。潮下帯は水質が透き通り汚染もなく、美しい広大なサンゴ礁を擁しており、豊富な海洋生物資源と海底景観資源が育まれています。サンゴ礁の魚類は405種類に及び、そのほか多くの無脊椎動物も生息しています。

タオ族

先住民のヤミ(タオ)族は台東外海の蘭嶼島に暮らしています。ヤミ族の人々は「タオ」と自称しています。これはタオ語で「人」を意味しています。


選出理由

蘭嶼のヤミ(タオ)族は、島の過酷な気候と風に襲われる狭長な海岸といった地形環境に対応するため、特殊な建築文化を発展させました。この文化の特色は、現地の伝統的住居や作業場、船屋から垣間見られます。島には自然の防壁が一切ないため、半地下式の家屋の建築設計は居住者を風雨から守り、同時に地域特有の文化的伝統と規範を生み出しました。これは世界遺産登録基準第5項を満たします。