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作家の林文月さん死去 89歳 源氏物語や枕草子を中国語に翻訳

  • 日付:2023-05-27
作家の林文月さん死去 89歳 源氏物語や枕草子を中国語に翻訳

作家の林文月さんが5月26日、米カリフォルニア州で死去しました。89歳でした。日中比較文学に精通し、源氏物語や枕草子の中国語翻訳を手掛けました。


文筆家らでつくる団体、中華民国筆会(ペンクラブ)が27日、フェイスブックで明らかにしました。


林さんは1933年、中国・上海の租界で生まれました。幼少期は日本の教育を受け、台湾に来て初めて中国語による教育を受けたとされています。台湾大学中国文学科を経て大学院に進学した後、58年から台湾大で教壇に立ち、69年には京都大学人文科学研究所に留学しました。93年に台湾大を退職して以降は、米国で暮らしていました。


70年前後には「京都一年」と呼ばれる散文のシリーズを執筆し、作品が中学校や高校の教科書に採用されたこともあります。2014年には日本政府の外国人叙勲で旭日中綬章を受章しました。この他、数々の文学賞も受賞しています。


筆会は林さんについて、作品には温かみがあり、その人柄が表れていたと故人をしのびました。筆会の秘書長で淡江大学中国文学科の楊宗翰助教は、かつて林さんが「中国文学科で学ぶ人」と題した文章を発表し、当時役に立たないとされていた中国文学科の後輩らに対してその先の道を導き示したことに触れ、中国語による創作モデルの確立に尽力したとたたえました。