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芸術家の安聖恵さん、2023リバプール・ビエンナーレに参加 新作「Ngialibalibade―失われた神話へ」を出品

  • 日付:2023-06-26
芸術家の安聖恵さん、2023リバプール・ビエンナーレに参加 新作「Ngialibalibade―失われた神話へ」を出品

英国の有名な現代美術展である「リバプール・ビエンナーレ」が6月10日に開幕しました。今年は台湾の原住民(先住民)芸術家である安聖恵Eleng Luluanさんがオファーを受け、その作品「Ngialibalibade―失われた神話へ」が期間中、リバプールのプリンスドックで展示されています。


今回(第12回)のリバプール・ビエンナーレは、南アフリカのキュレーターであるKhanyisile Mbongwa氏がキュレーションを手掛け、「uMoya:失われたものたちの聖なる回帰」をテーマに、リバプールの歴史や特質に応じたものとなっています。また、キュレーター自身の文化的背景に端を発し、先祖から伝わってきた、あるいはその土地の知識、知恵、治療を重視しています。「uMoya」はズールー語で「魂、呼吸、空気、気候、風」を意味しています。


今回のテーマに応じた、安聖恵さんの作品「Ngialibalibade―失われた神話へ」は、自身の出身であるルカイ族の伝説からインスピレーションを受けたもの。伝説では、ルカイ族の祖先は蛇の一種であるヒャッポダが守るつぼから誕生したとされているため、つぼは生命起源の象徴です。安聖恵さんはこの昔からのイメージを用いて、会場に大きな金属の容器を作り、漁網を再利用してネットをかけ、網目の模様を施し、つぼを神聖な「器」に作り上げました。観客が、マージー川とプリンスドックのウオーターフロントの間にそそり立つ神聖な場であるこのモニュメントの中に入り、自身と水の依存関係を考え、また、人類が今いる環境への気候変動による壊滅的な影響を改めて考えることを期待しています。


この作品は、安聖恵さんの「Ali sa be sa be/土石流」シリーズの最新作でもあります。「Ngialibalibade」はルカイ語で、発生している、過ごしているという意味。ある状態の形容詞であり、生命の成長、魂の転換、大自然の変化、テクノロジーの柔軟で急速な発展といったことを形容しており、それは生活の中で見ることのできる大きな変化、あるいは内心に隠された微妙な変化です。「Ngialibalibade」の過程では、一人一人が異なる心境。安聖恵さんは創作を通して、自身の生命体験と現代の世界でまさに起きている現象との対話を試みています。


リバプール・ビエンナーレは1999年の初開催以来、リバプールの公共の場や史跡、美術館などで、世界各地の400人余りのアーティストの作品を展示してきました。また、公演やワークショップなどの実施で、リバプールの街を彩っていきました。今年度の会期は6月10日から9月17日。詳細はリバプール・ビエンナーレ公式サイト(https://www.biennial.com/artists/eleng-luluan/)をご確認ください。