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「言語を超える世代」詩人の林亨泰さん死去 文化部は表彰を願い出る

  • 日付:2023-10-06
林亨泰さん

作家の林亨泰さんが9月23日に死去しました。98歳でした。史哲・文化部長(文化相)は訃報に接し、哀悼の意を表するとともに、深い敬意を示しました。この上で、林亨泰さんについて、台湾文学史において偉大な「言語を超える世代の作家」の一人で、極めて代表的な存在だと述べました。日本統治時代から戦後にかけて、苦労して創作言語を日本語から中国語に転換し、台湾文学史の大きな流れの中で貴重な資産を作り上げたとし、後世の模範でもあると説明。この上で、文化部(文化省)は、国家に多大な貢献をした人に贈る「褒揚令」を総統に願い出る考えを示しました。

 

林亨泰さんは1924年、日本統治時代の台中州北斗郡生まれ。モダニズム詩と論評を中心に手掛け、文学サークル「銀鈴会」や「現代派」、「笠詩社」、「台湾筆会」などに相次ぎ参加しました。49年には1冊目の詩集「霊魂の産声」を出版。50年に台湾師範学院(現台湾師範大学)を卒業後は、北斗中学で教職に就きました。56年に詩人の紀弦氏が発起した「現代派」に参加し、64年には仲間と共に「笠詩社」を設立し、詩誌「笠」の初代編集長となりました。

 

林亨泰さんが中心的に書いたのはモダニズム詩で、49年に最初の詩集を発表してから、2009年出版の「生命の詩」まで、60年にわたって創作を続けました。その詩と論評は、台湾のモダニズム詩の歴史に大きな影響を与えました。林亨泰さんは、台湾文芸界における最高栄誉賞である国家文芸賞や呉三連文学賞などを受賞。「モダニズム」を取り入れ、「郷土」「本土(台湾)」「台湾意識」とつながったその文学は、台湾の詩の歴史の行方を映したものといえます。