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日本統治時代の作家の日記、台南で展示 生活や交友など日本語で記録

  • 日付:2024-02-16
日本統治時代の作家の日記、台南で展示

日本統治時代生まれの作家、呂赫若の手稿「呂赫若日記」が修復を終え、南部・台南市の国立台湾文学館で展示されています。日記は長年にわたって保管していた遺族から2020年に同館に寄贈されました。呂が文学・芸術の分野で最も盛んに活動した1942~44年の3年間の生活や交友、創作などが日本語で詳しく記されています。

 

同館や文化部(文化省)によれば、呂は1914年、台中州豊原郡(現在の台中市)生まれ。封建的な家族制度が抱える問題や植民地で人々が受ける抑圧などの社会問題をテーマにした作品で知られ、代表作には「牛車」や「冬夜」などがあります。音楽や劇作でも名をはせました。戦後は反政府活動に身をささげ、51年までに逃亡先で命を落としました。

 

遺族は呂が残した作品などに注目が集まることを恐れ、実家のライチ畑に全て埋めました。しかし腐食が進み、手書きのもので残っているのは「呂赫若日記」のみです。日記は戒厳令下の白色テロ時代には呂氏の子孫が受け継ぎ、93年、学術調査の過程で存在が公にされました。子孫によれば、台湾で墓参りをする日とされる清明節(4月5日前後)には毎年、家族が日記を通じて故人に思いを寄せていたということです。保管の困難さなどを理由に、呂の長男が同館に託しました。

 

同館は、貴重な一次史料を通じて一時代の魂を垣間見ることができると紹介。困難な歴史の中にあってもなお、あふれる創作のエネルギーや理想の追求、自由への憧れによって、日本統治時代の農村という題材や思いやりの精神を後世に伝えていると説明しました。

 

同館の開館20周年を記念した特別展「館慶二十・文物賦活」で展示されています。7月14日まで。