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伝統人形劇ポテヒの人形遣い・陳錫煌さん、台湾文化界の最高栄誉「行政院文化賞」を受賞

  • 日付:2020-08-21
伝統人形劇ポテヒの人形遣い・陳錫煌さん、台湾文化界の最高栄誉「行政院文化賞」を受賞

伝統人形劇ポテヒ(布袋戯)の人形遣い、陳錫煌さん(89)が、台湾の文化界で最高栄誉とされる「行政院文化賞」を受賞しました。台北市内で8月20日、授賞式が行われました。陳さんは「見る人がいなければ伝統は消えてしまう」と語り、ポテヒの観客に感謝を伝えました。

日本統治時代の1931年、ポテヒの巨匠、李天禄さんの長男として生まれた陳さん。独自の人形操作技術を磨き上げただけでなく、人形や道具の制作にもたけ、伝統芸能と伝統工芸の両分野で人間国宝の称号を獲得しています。ポテヒ文化が下火になることを危惧して2008年に後進の育成を目的とした劇団を立ち上げ、今も現役で活躍しています。

陳さんによれば、ポテヒのセリフは文語が多く、「今どきの子どもは聞いても分からない」。それでも愛好者は一定数おり、とくに海外公演では低年齢層に人気が高いといいます。陳さんは、ポテヒを学ぶ意欲があれば国籍を問わず喜んで伝授すると話し、文化伝承に取り組み続ける意欲をアピールしました。

台湾では2018年、陳さんに10年間密着したドキュメンタリー映画「台湾、街かどの人形劇」(中国語原題:紅盒子)が公開されました。日本でも昨年、公開されています。同作を手掛けたヤン・リージョウ(楊力州)監督は、陳さんが舞台や日常で使う台湾語が、自分を含めた多くの人にとっては理解しにくいと明かし、このことによって文化と言語の結び付きに気付かされたと語っています。

行政院文化賞は今年で39回目。これまでに83人の文化人が受賞しており、今回は陳さんと打楽器奏者、朱宗慶さんの2人が選出されました。