台湾原住民(先住民)族ブヌン族に伝わる織物が2022年12月末、「伝統工芸」として中部・南投県の文化資産に登録されました。県文化局がこのほど公表しました。同族の重要な伝統文化であり、先人の知恵を十分に示しているのに加え、模様によってブヌン族内のグループを識別でき、文化的背景を表現しているとして登録が決まりました。
栽培した植物から繊維を取り出し、天然の染料で染め上げたものを手作業で織り上げます。デザインを考えてから必要な糸を計算し準備してから織り機に糸を設置するという手順が用いられており、平織りや斜文織りなどさまざまな技法で模様を作り出しています。
職人の谷秀紅さんが技術の保持者として認定されたことも併せて発表されました。縦糸と横糸を組み合わせる際に使う棒の数が多ければ多いほど、華やかで複雑な模様ができるとされています。同局の林栄森局長によれば、谷さんはブヌン族で最多となる12本の棒を操れるとのことです。
同県の山奥で夫と自給自足の生活を送る谷さん。その技術を学ぼうと、はるばるやって来る大学教授や学生が後を絶ちません。
同局は、文化資産保存法にのっとりブヌン族の伝統工芸を保存し、技術の伝承を支援していくとしています。
(写真は南投県政府文化局提供)