米音楽界の祭典、第65回グラミー賞の授賞式が現地時間2月5日、ロサンゼルスで開かれ、台湾のデザイナー、シャオ・チンヤン(蕭青陽)さんが最優秀レコーディングパッケージ賞を受賞しました。台湾人が同賞を受賞するのは昨年に続き2年連続となりました。
現在56歳のシャオさんはこれまで数多くのアルバムパッケージを手掛けてきました。音楽業界に携わって40年近くになります。グラミー賞は7度目のノミネートにして初の受賞です。受賞後に取材に応じ、思いを語りました。
受賞作はシャオさんが新北市の依頼を受けて撮影した観光PR動画「淡蘭古道三部曲」のサウンドトラック「Beginningless Beginning」です。古道で録音した渓流の音や鳥のさえずりなどに古楽器の演奏を融合させた音楽となっており、アルバムはシャオさんと娘の蕭君恬さんが共同で手掛けました。ジャケットデザインは台湾の伝統人形劇「ポテヒ」(布袋戯)をイメージし、パッケージを開けると紙が何枚も重なった蛇腹カメラのようなデザインが現れます。デザインを通じ、祖先が歩いてきた道や聞いた音を感じさせています。
シャオさんが初めてグラミー賞にノミネートされたのは2005年。当時は舞台の下で「神様、私に受賞させないでくれ。でも毎年来たいんだ」と願っていたといいます。「音楽を愛するクレイジーなやつ」と自称するシャオさんは、初めてグラミー賞の会場に足を運んで以来、音楽を愛する人々が一堂に会するこの祭典に魅了されたのだと語りました。
シャオさんは子供の頃から毎日レコード店に自転車で通い、並んでいるレコードを見るだけで満足していたそうです。音楽への情熱は今でも変わらず、毎朝5時に資源回収場に出向き、ごみの中からCDを探しては掘り出し物を持ち帰り、丁寧に修復しているのだと明かしました。
「どのCDにも神が宿っているのだと思うんです」。自身が受賞できたのは、CDをずっと大切にしてきたことと関係があるのではないかとシャオさんは分析します。「私が彼らをこんなに愛しているのだから、きっと彼らも私を愛してくれているんです」と話しました。