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日本時代出版の「台湾鉄道史」を中国語全訳  研究への活用に期待

  • 日付:2022-05-14
日本時代出版の「台湾鉄道史」を中国語全訳  研究への活用に期待

日本統治時代に出版された「台湾鉄道史」を中国語に全訳した書籍が台湾で刊行され、関連のイベントが5月13日、台北市内で開かれました。同書は台湾鉄道の黎明期を知ることができる貴重な資料として、台湾史に対する理解向上や研究への活用が期待されています。


「台湾鉄道史」は1910~11(明治43~44)年にかけて台湾総督府鉄道部によって出版されたものです。上、中、下巻の3冊に分かれ、清朝時代に開通した北部・基隆–同・新竹間の鉄道や日本統治時代に行われた改良工事、新竹–南部・高雄間の新線建設工事、運営状況、開通祝賀式典などに関する詳細が記されています。


中国語版は1990年に台湾省文献委員会から上巻が出されたものの、読みやすい文体ではなく、中巻と下巻は出版されていませんでした。


そんな中、国家鉄道博物館準備室は2020年、全訳版の翻訳プロジェクトを始動。専門用語が交じり、句読点や濁点がない当時の文語体の日本語を、翻訳チームが2年近くをかけて、専門家の意見を聞きながら読み解きました。翻訳者の古育民さんは、中国語にはない間接的な言い回しや二重否定などのあいまいな表現に苦労したと話します。


今年2月に刊行された全訳版は70万字の大作。原書に折り込まれていた図面や地図、表なども忠実に再録されました。


国家鉄道博物館準備室の鄭銘彰主任は「鉄道や文学の専門家の力を合わせて学術的な翻訳本が出版できたことには意義がある」と語り、今後も台湾の鉄道に関する外国語出版物の翻訳や出版を続けていく考えを示しました。


(写真は国家鉄道博物館準備室提供)