メインのコンテンツブロックにジャンプします

台湾の先住民音楽研究のパイオニア | Calaw Mayaw

  • 日付:2024-04-12
Calaw Mayaw

台湾の原住民(先住民)音楽研究のパイオニアであるCalaw Mayawはアミ族で、1936年、台湾東部・花蓮県生まれ。台湾の民族音楽の調査と研究に人生をささげ、台湾の原住民音楽の伝承に力を注ぎました。原住民音楽がまだ重要視されていなかった時代に、土地と生活に根ざしたメロディーを保存し、台湾の音楽を豊かなものにしました。

 

67年、当時、台湾師範大学音楽学科の学生だったCalaw Mayawは、音楽家である許常恵、史惟亮が推進していた、各地でさまざまなエスニック・グループの民族音楽を収集する「民歌採集運動」に参加。この活動では数少ない原住民のメンバーでした。Calaw Mayawはアミ族の集落70カ所以上に深く入り込み、音楽を採集。十数年をかけて各地のアミ族の集落を巡り、300曲以上の歌を採集して記録しました。また、馬蘭集落の伝統的な歌や音楽文化の翻訳に協力し、馬蘭の伝統歌謡を研究しました。

 

Calaw Mayawが79年に発表した「台湾阿美族(アミ族)民謡研究」は、財団法人中華民国中山学術文化基金会による中山文芸創作賞を受賞。その後、研究成果は「Banzah A Ladiu台湾阿美族民謡謡詞研究」として編集されて改めて出版され、Calaw Mayawの確固とした音楽研究の業績となりました。その後、Calaw Mayawは、総統府直属の最高学術研究機関である中央研究院や文化建設委員会(文化部の前身)が委託したアミ族音楽調査研究プロジェクトに参加したほか、著書として「宜湾阿美族豊年祭歌謡」があります。

 

国立台東大学音楽学科で教えていた時期、Calaw Mayawはプユマ族南王集落の伝統的な歌と踊りを研究し、「台湾卑南族(プユマ族)及其民謡曲調研究」を出版。また、執筆した「南王聚落之音楽」がプロジェクト「台湾土著祭儀及歌舞民俗活動之研究」に収録されました。

 

40年余り音楽教師を務めたCalaw Mayawは、台東大学を退官した後も、民歌採集に対する情熱は消えず、体のあちこちに不調を抱えながらも、毎日のようにピアノでアミ族の曲を奏でました。文字の記録だけでなく、こうした音の記録により、アミ族の貴重で美しい歌を広めたいと希望したからでした。

 

Calaw Mayawが収集した歌は、当時の漢民族を中心とした学術理論と方法では、その筋道と価値を示すことが困難でした。そこでCalaw Mayawは自らの民族の視点から、歌、詩、文化論述、民族的観点による分析・研究を行い、自身が理解しているアミ族の美学と知識体系を構築しようとしました。音楽を通してアミ族の文化というものを説明したCalaw Mayaw。その功績は、台湾の現代の音楽人にも影響を与え続けるでしょう。