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陶芸の先駆者 | 蔡栄祐

  • 日付:2017-04-24
陶芸の先駆者 | 蔡栄祐

現代陶芸の大家である蔡栄祐は1944年、台中県霧峰に生まれました。陶磁器の創作に携わって30年以上になる蔡栄祐は、陶芸家としては初めて、台湾省全省美術展覧会の工芸部門で、永久に審査を経ることなく出品できる資格を認められた芸術家です。蔡栄祐の陶芸作品は、数多くの伝統的な創作流派の中で、独自の路線を歩んでおり、独自の生活と創作哲学を貫いています。蔡栄祐は2011年、「国家工芸成就奨」を受賞しています。


1966年、蔡栄祐は侯寿峰氏に日本画の技法を学び、絵画の基礎を固めました。絵画創作に従事した十年間に、作品はたびたび賞を取るなど評価されました。その後、環境的なことや生活面でのストレスから、大好きだった絵画創作を離れ、様々な職業を転々とします。


1975年、蔡栄祐は縁あって、陶芸作品をオークション販売していた楊連科氏と知り合い、陶器の製作方法を習います。楊氏は言うなれば、蔡栄祐に手ほどきした先生ということになります。陶芸技術の更なる向上を目指し、蔡栄祐は33歳の時、故郷を離れて台北に出て、邱煥堂教授、林葆家教授の門下に入り、陶芸とかかわっていくことになります。


翌年、蔡栄祐は故郷に帰って窯を開き、陶芸工房「広達芸苑」を設立します。陶芸を学んで2年目から4年連続でイタリアのファエンツァ国際陶芸展で入選。また、フランスのヴァロリス国際陶芸ビエンナーレでも2期連続で入選を果たし、台湾陶芸界での地位を築きました。


蔡栄祐は伝統的教養の実践者であり、全身から、「温良恭倹譲(温厚で素直、慎ましく質素で控えめ)」という美徳が漂います。蔡栄祐の陶芸作品は、質感と釉薬の色が表現のポイント。作品からは、質素ながらあふれる気品と実直さが感じられ、創作者の心の奥深くの素養と上品さが表れています。1983年、蔡栄祐は、第21回全国十大傑出青年で、最高の栄誉である「金手奨」を受賞しています。


蔡栄祐は1979年、台中市の画廊で初めての陶芸個展を開催して以降、台北や桃園、台中、豊原、南投、台南、高雄、澎湖、霧峰などで30回の個展を開催。作品はその後、ニューヨークやフランス、北京の展覧会にも招かれています。


蔡栄祐の台湾陶芸界への貢献は、数々の作品創作以外に、中部地域の陶芸と陶磁器産業を発展させたことにもあります。蔡栄祐は単身台北に出て著名な師について学び、故郷である霧峰にこの経験を持ち帰り、広めました。蔡栄祐の最初の仕事は、政府の委託による陶芸教室。この教室には大勢の陶磁器製造技術学習者が集まりました。蔡栄祐の誠実さと技量が、中部地域に大勢の現代陶芸作家を育みました。現在、中部地域で繁栄している陶磁器産業のほとんどは、直接的間接的に蔡栄祐の影響を受けており、広達芸苑は中部の陶芸工芸の基準になっています。