敷地面積約10ヘクタール、高雄市鳳山に堂々たる姿の国際レベルの舞台芸術施設――衛武営国家芸術文化センターが2018年10月に正式開館し、台湾南部の舞台芸術環境に、大きな力と豊かな資源をもたらしました。
衛武営国家芸術文化センターは、台湾最大規模の芸術文化施設で、オランダの建築家、フランシーヌ・ホウベン(Francine Houben)により設計されました。その波のような流線型の屋根は国内外から注目を集めています。館内には、異なる規格の複数のホールが備えられており、客席数2236席のオペラハウスをはじめ、1981席のコンサートホール、1210席のプレイハウス、434席のリサイタルホール、さらには、実験的表現スペースであるペイントショップ、展示ホール、レクチャーホール、コンサートホールロビー、半屋外のバニヤンプラザなどがあります。
屋内の4ホールのうち、最も注目されるのが、台湾では初めて、観客席がステージを取り囲むように配置される「ヴィンヤード(ブドウ畑)」形式を採用したコンサートホールで、その規格は、世界的なコンサートホールであるエルプフィルハーモニー・ハンブルクや、フィルハーモニー・ド・パリ、ベルリン・フィルハーモニー、ロサンゼルスのウォルト・ディズニー・コンサートホールと同クラス。ホール内のパイプオルガンは、ドイツで百年の歴史を誇るパイプオルガン製造工房ヨハネス・クライス社(Johannes Klais Orgelbau)によるもので、9085本のパイプ数はアジアの専用ホールでは最大のものです。
ヴィンヤード形式のコンサートホールは、音楽の専門家や愛好家が、最良の音響と認めるもので、観客と舞台の距離が近く、演奏者の生の魅力を身近に感じることができるものです。さらに、客席がブドウ畑のように段々のブロック状に低い壁で分けられていることで、音の反射距離が短くなり、どの座席でも高い音響効果が得られます。
衛武営国家芸術文化センターの建築理念とデザインの柱は、園区内に鬱蒼(うっそう)と茂るガジュマルに着想を得たもので、「有機」と「開放」を基調としており、工法には高雄の造船文化も取り入れられています。建物の輪郭は、さまざまなものを広く受け入れる港の精神性と融合し、さらに、屋外のオープンスペースと緑地、巨大な舞台としての敷地そのものの調和が加わり、芸術センターと都市公園が一体化したものとなっています。
高雄の新たなランドマークとなった衛武営国家芸術文化センターは、世界レベルの公演をもたらすだけでなく、教育の最前線に立ち、クラシック音楽の重要なナビゲーターとなることが期待されています。楽しいガイドツアーにより、実際に体験し、自ら感じてもらうことで、子どもたちの心に第一歩となる芸術の種を植え、教育や、高雄の未来を大きく変える無限の可能性になることが期待されます。
衛武営国家芸術文化センターの建設は難しいもので、起工から9年の月日がかかりました。文化部(文化省)と衛武営国家芸術文化センター、高雄市政府の3者が協力し、台湾南部の舞台芸術戦略を策定。台湾南部のパフォーマンスグループや芸術文化関連で働く人が、衛武営国家芸術文化センターを拠点として、台湾南部の芸術創作パワーを集成し、うねりを起こし、この地から世界につながっていくことを願っています。
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