漫画家の阮光民さんと左萱さんが4月9日、米ニューヨークで開かれた台湾漫画の魅力を伝えるイベントに出席し、制作実演や作品中に描かれる台湾文化の紹介などを行いました。会場には現地の漫画ファンら数十人が来場し、台湾漫画に理解を深めました。
阮さんは2017年の「ゴールデンコミック奨」(金漫奨)で最高賞の年間漫画大賞を受賞した「用九柑仔店」を用い、「柑仔店」と呼ばれる台湾の昔ながらの万屋(よろずや)を来場者に紹介しました。左萱さんは、自身の成長の経験を題材にした「神之郷」を取り上げ、作品中に描かれる桃園・大渓のお祭りについて語りました。
来場者からは、なぜ台湾ならではの題材で作品を描くのかとの質問が飛びました。左萱さんは、「台湾らしさ」のためにお祭りをテーマとして選んだのではないと話し、純粋に自分が描きたいものを選んだだけだと明かしました。
阮さんは台湾に進出している日本漫画について、「すごい」と称賛しました。「私たち(台湾の漫画家)はいじめられていると思う人もいるけれど、見方を変えるとこれらの素晴らしい作品から学ぶことができる。凝り固まっていては進歩はない」と前を見据えていました。
制作実演中、来場者は2人がイラストを描く姿を食い入るように見つめていました。来場した中国系アメリカ人の高校生、黄雨恩さんは、2人の作品はいずれも興味深いと語ります。米国で育っていると台湾のものを目にすることはあまりないと話し、「自分の文化に関するものをより多く掘り下げていきたい」と目を輝かせました。
同イベントは、駐ニューヨーク台北文化センターがニューヨーク公共図書館と共同で開催したものです。阮さんと左萱さんは4月7、8日にマンハッタンで開かれた大型漫画フェス「MoCCA Arts Festival」の招きを受け、同フェスに参加しました。
台湾の漫画家、阮光民(右)と左萱(左)は、それぞれの作品で、台湾の雑貨店や縁日文化を忠実に描写。毎年開催されるニューヨークの「モカ・アーツ・ フェスティバル(MoCCA Arts Festival)」では、漫画を媒体として、ニューヨーカーに台湾の郷土民情を知ってほしいと述べています。
台湾の漫画家である阮光民と左萱が、ニューヨークで毎年開催される「モカ・アーツ・ フェスティバル(MoCCA Arts Festival)」に参加。それぞれの作品「用九柑仔店」、「神之郷」には、台湾の郷土文化のエッセンスが色濃く映し出されています。