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台日共同制作の劇、横浜で世界初演 崑劇と三味線を融合 観客称賛

  • 日付:2018-07-03
台日共同制作の劇、横浜で世界初演 崑劇と三味線を融合 観客称賛

台湾の伝統芸能劇団、国光劇団と横浜能楽堂が共同制作した新作劇「繍襦夢」が69日、横浜能楽堂で世界初上演されました。崑劇の古典「繍襦記」を下地に、霊的な存在が主人公となる夢幻能の形式を取り入れ、三味線音楽と融合させた作品です。観客の女性の一人は「本当に素晴らしかった。夢の世界のようだった」と作品に太鼓判を押しました。 


「繍襦夢」の基になった古典「繍襦記」は、唐の時代を舞台に書生の鄭元和と妓女の李亜仙の恋物語を描いた作品です。「繍襦夢」では2人の仲は許されず、姿を消した亜仙の未練を断ち切れないまま、元和は死後も形見と生前の記憶の世界をさまようという結末に物語をアレンジしました。主演は国光劇団に所属し、国際的に活躍する温宇航さん。三味線奏者の五代目常磐津文字兵衛さんが音楽監督や作曲、演奏を担当し、劇団「シェイクスピア・ワイルドシスターズ・グループ」(莎士比亜的妹妹們的劇団)主宰の王嘉明さんが演出を務めました。 

繍襦夢.JPG

今回の共同制作は、台北駐日経済文化代表処台湾文化センターの朱文清センター長の働き掛けを機に始動しました。3年前に横浜能楽堂の中村雅之館長が台湾を訪れた際、国光劇団とのコラボレーションが決定したといいます。台日の芸術家は昨年から交互に日本、台湾を訪れ、稽古を重ねていました。 


国光劇団の張育華団長は崑曲と能楽がいずれも国連教育科学文化機関(ユネスコ)無形文化遺産に登録されていることに触れ、共同制作の過程で「相手の文化を理解しただけでなく、相手の文化の奥深くにある素晴らしさに間近に触れることができた。収穫は本当に大きい」と振り返ります。「今後もこのように深く交流できる機会を持てれば」と意欲を示しました。 


「繍襦夢」は610日に新潟市、16日に愛知県豊田市、17日に再び横浜能楽堂で上演されました。今後台湾に会場を移し、989日に台中国家歌劇院中劇場(台中市)、同1416日に台湾戯曲センター大ホール(台北市)で上演されます。