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翻訳ミステリー大賞に紀蔚然さん原作の「台北プライベートアイ」

  • 日付:2022-06-04
翻訳ミステリー大賞に紀蔚然さん原作の「台北プライベートアイ」

翻訳ミステリーの年間ベスト1を選ぶ「第13回翻訳ミステリー大賞」の受賞結果が6月3日に発表され、台湾人作家、紀蔚然さん作、舩山むつみさん訳の「台北プライベートアイ」が大賞に選ばれました。紀さんは「受賞できるとは思わなかった。うれしい」と喜びを語りました。

同賞は翻訳者が「翻訳者として読者の皆さんに特に読んでほしい翻訳ミステリー」を投票で選ぶ賞です。予備投票で候補作が5冊に絞られ、本投票で最も多くの票を獲得した書籍に大賞が贈られます。

中国語で執筆された原作「私家偵探」は2011年に台湾で出版され、読む人を引き込むストーリーが大きな反響を呼びました。日本語の他、フランス語、イタリア語、トルコ語、韓国語などにも翻訳され、昨年には続編となる「DV8:私家偵探2」が刊行されました。

元々は舞台脚本を書き続けていた紀さん。同書は、スランプに陥っていた際に「別のものが書けないか」と思い執筆した作品だといいます。

設定上の舞台は北部・台北市六張犁。紀さんはそこにある臥龍街でよく散歩をしており、推理小説にぴったりだと思ったと話します。「葬祭業者が軒を連ね、死の雰囲気が漂っていて、長期にわたって放置された廃墟もあります。何度も歩くうちに、『事件はここで起こるかもしれない』と想像するようになったのです」

普段から推理小説を読むのが好きで、米国や英国、日本の作品も読んでいたという紀さん。だが、実際の執筆は順調とはいかず、「舞台作品とは全く違った芸術だったので、どう進めて良いか分からず、3年かかってやっと完成させることができました」と振り返りました。

さらなる続編については、すでにおおまかな流れはある程度決まっていると明かし、さらに熟考を重ね、「半年後には書き始める予定」だと話しました。

(写真は陳建仲撮影、印刻文学提供)