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日本の文化人類学者、岩佐嘉親さんが死去 生涯かけて収集したオーストロネシア文化の所蔵品を台湾史前文化博物館に寄贈

  • 日付:2014-02-26
日本の文化人類学者、岩佐嘉親さんが死去 生涯かけて収集したオーストロネシア文化の所蔵品を台湾史前文化博物館に寄贈

2008年、教育部より外国人初となる一等文化奨章を受章し、2013年には龍応台文化部部長によって2度におよぶ文化財の寄贈に対して書面による謝意を受け、しばしばメディアでも取り上げられたことのある日本の文化財収集家、岩佐嘉親さんがこの17日、亡くなられました。享年93歳でした。


岩佐さんは台湾を訪れることはありませんでしたが、生涯をかけてオセアニア各地を訪れ集めたオーストロネシア文化(南島文化)にまつわる所蔵品を5年ほどの間に計3万点近くを台湾に寄付し、その一生の思いがつまった品々のすべてが台湾史前文化博物館に収められました。現在、寄贈品のうちのほんの一部をまとめて、「南島へ思いを寄せて:岩佐嘉親とその所蔵品特別展」として当館地下1階にて展示しています。


台北駐日経済文化代表処では25日、文化人類学者の岩佐嘉親さんが今月17日に亡くなったとの訃報を夫人より受けました。岩佐さんは生前、東京女子医科大に献体登録しており、葬儀等はとり行われないとのことでした。


これに対し、駐日代表処ではただちに電話で哀悼の意を示しました。また、台湾史前文化博物館でも館長自らが夫人へ向けて書面でお悔やみの言葉を伝え、岩佐さんの突然の逝去に驚きを隠せないとし、その貢献に思いをはせたうえで台湾から何かお役に立ちたいとの気持ち、そして、岩佐さんの遺志を受け継ぐべく寄贈された文化財への思いが実現されるよう努力したい旨を伝えました。


岩佐さんは工業高校で学ばれましたが、オーストロネシア文化のフィールドワークに情熱を傾け、20歳代から南太平洋をめぐるようになり、半世紀の間に50回余り島々を訪れて、オーストロネシア文化にまつわる多くの品々を収集しました。


岩佐さんと台湾との縁は、2008年に研究者の坂本勇さんの紹介があったことに始まります。やがて、岩佐さんは台湾に全幅の信頼をおくようになり、その生涯をかけて集めた所蔵品を南の島に返したいと台湾史前文化博物館への寄贈を決めました。


岩佐さんは全所蔵品を寄贈するだけでなく、その命の終末を迎えて自らを医学センターに献体されました。まさに、文化と生命に対する最高の人類愛の表れといえるでしょう。


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