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映画看板絵師、謝森山さん 60年間手描きにこだわり今も現役

  • 日付:2018-11-27
映画看板絵師、謝森山さん 60年間手描きにこだわり今も現役

60年のキャリアを持ち、今も現役で活躍する映画看板絵師、謝森山さん。伝統を守り続ける職人にスポットを当てたドキュメンタリーフィルム「匠人魂」では最新作に謝さんを取り上げ、謝さんの職人精神を紹介しています。


謝さんは1946年、中部・台中で生まれ、北部・桃園で育ちました。幼少期から手に職を付けて家計を助けたいという気持ちがあり、映画館に掛かる看板を見るうちに映画看板絵師への夢を膨らませていました。15歳で広告会社で見習いを始めた謝さんは、給料も技術指導もない環境で、師匠に付き従って仕事を手伝いながら自力でテクニックを学び取りました。日夜練習に励み、通常であれば全ての技術を習得するのに34年かかるところ、謝さんは2年で一人前になったそうです。それでも向上心は収まらず、映画館が林立する台北に自転車で行き、たとえ深夜でも懐中電灯を照らして他人が描いた看板に見入ったといいます。兵役を終えた20歳で、桃園・中レキを拠点に独立しました。(レキ=土へんに歴、木を禾に)


196080年代の台湾は映画の全盛期で、謝さんは7カ所の映画館で看板や巨大ポスターの製作を手掛ける多忙な日々を過ごしていました。しかし1986年以降、コンピューター技術が導入された上に、台湾の映画産業も下火になり、昔ながらの映画館は衰退。1つの映画館に複数のスクリーンを持つシネマコンプレックスが主流となって同業者が激減する中、謝さんはかたくなに手描きにこだわりました。


現在、謝さんの看板を掲げているのは桃園の映画館「中源大戯院」1館のみです。絵師が仲間の中で自分一人だけになるとは思ってもみなかったとしながらも、「体力が続く限り描き続け、技術を伝えていきたい」と言葉に力を込めました。


「匠人魂」は台湾の非政府組織(NGO)、中華文化総会が昨年から制作しており、今回で14作目となります。映像はインターネットで公開されています。