メインのコンテンツブロックにジャンプします

呉明益の小説「歩道橋の魔術師」をドラマ化 今はなき「中華商場」を再現

  • 日付:2019-02-01
呉明益の小説「歩道橋の魔術師」をドラマ化 今はなき「中華商場」を再現

台湾人作家、呉明益の小説「歩道橋の魔術師」(天橋上的魔術師)が公共テレビ(公視)によってドラマ化されることになり、制作発表会見が台北市内で128日に行われました。かつて台北にあった大型複合施設「中華商場」を舞台にした作品で、文化部(文化省)が推進する歴史建築の3D模型化プロジェクトの下で再現した模型を活用し、当時の風景を現代に蘇らせます。


中華商場は台北駅と西門町の間にある中華路一段で1961年に開業し、6070年代の最盛期には家電や衣料、骨董、飲食などの店が林立しました。建物内には店を営む人々の住居もありました。しかし都市再開発などに伴い、1992年に取り壊され、今では美しい思い出として当時同施設を利用した人々の記憶に残っています。ドラマでは1980年代の中華商場が主な舞台になります。


制作費は15500万台湾元(約54930万円)。全10話で、今年89月に撮影開始予定です。ヤン・ヤーチェ(楊雅[吉吉])監督がメガホンを取ります。ヤン監督によれば、主役の魔術師役は候補を大物歌手に絞り込んでいるほか、毎話のゲストにはジェイ・チョウ(周杰倫)やリン・チーリン(林志玲)など人気スターの起用を考えているそうです。


ヤン監督は「台湾では現代のノスタルジーを題材にした作品はあまり作られない」とした上で、中華商場が姿を消していることに触れ、「(制作の)難易度はかなり高い」と言及。脚本が「皆さんの心にかつていた魔術師を呼び起こせれば」と意欲をみせました。中華商場の風景を再現するため、公視は当時の写真を一般から募集していました。


同作には文化部も出資をしています。鄭麗君部長(文化相)は、台湾の文学と映像、テクノロジー、人材を融合させた同作品は台湾の最高のソフトパワーを表現するものになると期待を寄せました。