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米美術館所蔵の絵画、台湾に里帰り 「台湾芸術史再構築の重要な一歩」鄭麗君文化相

  • 日付:2019-06-05
米美術館所蔵の絵画、台湾に里帰り 「台湾芸術史再構築の重要な一歩」鄭麗君文化相

台湾の企業家によって設立された米カリフォルニア州の順天美術館が所蔵する台湾人画家の作品600点超が“帰国”することになりました。作品は国立台湾美術館(台中市)に寄贈されます。順天美術館では6月2日、作品が台湾に送られる前の最後の展覧会が始まりました。開幕式で鄭麗君文化部長(文化相)はビデオメッセージであいさつし、これらの作品の里帰りは「台湾芸術史を再構築する上での重要なアクションになる」と喜びを示しました。


順天美術館は台湾の漢方製剤メーカー「順天堂薬廠」の創業者、故許鴻源さん(1917~1991年)を記念するため、96年に米カリフォルニア州アーバインに建てられました。鴻源さんは日本統治下の台湾に生まれ、日本に留学した経験を持ちます。戦後の46年に台湾で起業し、日本の漢方製薬技術を初めて台湾に導入したとされています。同社はアーバインにも拠点を置いています。


寄贈される作品は、台湾のために貢献したいと願った鴻源さんが妻と共に約40年かけて集めたコレクションです。日本統治時代の画家、陳澄波や李梅樹の作品も含まれています。


鴻源さんの息子で順天美術館の董事長を務める許照信さんは、鴻源さんは台湾の絵画を集めることで、画家たちが描いた異なる時代の台湾の姿を後世に残したいと考えていたと説明します。照信さんは、生前の鴻源さんが作品を「台湾人の資産」だとよく言っていたことを振り返り、600点余りの作品を台湾に返すことは鴻源さんの夢だったと明かしました。


最後の展覧会には初日から、作品に別れを告げようと多くの人が訪れました。展示作品には、鴻源さんと画家たちとの「出会い」を紹介した文章がそれぞれ添えられました。同展は19日まで。6月末から7月初旬にかけて国立台湾美術館の職員が訪米し、作品の搬送作業を進める予定となっています。