メインのコンテンツブロックにジャンプします

嘉南大圳着工100周年記念式典、台日の友情築く 蔡総統が出席

  • 日付:2021-05-08
日本台湾交流協会台北事務所事務所長泉裕泰

台南市の烏山頭ダム内にある「八田與一記念園区」で5月8日、嘉南大圳着工100周年記念式典が開かれました。式典に出席した蔡英文総統は、地方と中央政府が引き続き協力し、地方から世界へ、水路の文化的記憶を通じて台日の友情を共に築き、台湾文化の存在感を高めるとともに、国際文化交流を促進していくことに期待を寄せました。

式典は100年前に台日の技術者と労働者が協力して東アジア一の水利工事を行った記念するもので、文化部、交通部、農業委員会、台南市政府などが共同で開催しました。蔡総統のほか、蘇貞昌行政院長(首相)や李永得文化部長(文化相)、黄偉哲台南市長らも出席しました。

烏山頭ダムと嘉南大圳は第2次世界大戦前に建造された台湾の重要な水利工事です。八田與一が設計と監督を担当し、1920年に着工、10年の歳月を経て完成しました。この水利工事は当時、東アジア一だっただけでなく、世界で3番目の規模を誇りました。この水利工事において採用された、近代化の中に地域の環境的特色を取り入れた湿式土堰堤工法と3年輪作給水制度は雲嘉南(雲林、嘉義、台南)地区全体の稲作の生産性を向上させ、同地区を「台湾農業の穀倉」にしました。これにより農家の生計は大きく改善され、台湾産業発展の基礎が築かれました。

これらの文化遺産と歴史的記憶を保存するため、文化部と台南市政府は2009年、烏山頭ダムと嘉南大圳の周辺区域を文化景観として登録。2018年以降は「将来を見据えたインフラ建設(前瞻基礎建設)ー歴史現場再現計画」を通じてエリア内の重要な有形文化資産と関連遺産を対象に包括的な景観修復や再利用を進めています。

李文化部長は、嘉南大圳が100年にわたり利用され続けていることは、歴史現場と文化的記憶が溶け合う中において、台湾の生き生きとした文化的生命力を証明していると話し、八田と台湾の全ての先人の努力と貢献に感謝を述べました。

記念式典では初めて、八田の故郷である金沢と会場をライブ配信で結び、金沢市の山野之義市長や謝長廷駐日代表、八田の子孫である八田修一さんら日本の友人が共に追悼しました。台日の参加者は八田の詞に新たに曲と振りを付けた「烏山頭踊り」を同時に舞い、八田に敬意を示しました。