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日本統治時代の彫刻家制作の銅像、新潟から台湾に返還へ

  • 日付:2022-07-28
日本統治時代の彫刻家制作の銅像、新潟から台湾に返還へ

日本統治時代に台湾出身者として最初に日本に渡り美術を学んだ彫刻家、黄土水による銅像が、新潟県佐渡市から南部・高雄市に返還されることになりました。謝長廷駐日代表(大使に相当)は7月27日、佐渡市を訪問。返還を決めた佐渡市の渡辺竜五市長や市民に謝意を伝えました。


高雄市への返還が決まったのは佐渡出身の山本悌二郎の銅像です。山本は日本統治時代、台湾製糖の創設に尽力し、社長も務めました。銅像は台湾製糖が高雄に置いていた工場にありましたが、戦後に山本の親族らが日本に持ち帰り、佐渡市内の公園に設置されました。


銅像は台湾製糖の社員たちが資金を調達し、黄土水に制作を依頼したとされます。黄土水は東京美術学校(現・東京芸術大学)で学び、台湾の芸術家として初めて帝展(現・日展)入選を果たしました。


文化部(文化省)は、台湾美術史の再構築を目指し、海外に散らばる台湾の芸術家が手掛けた作品の「帰郷」に力を注いでいます。山本悌二郎の銅像は今年中に台湾に移され、高雄市立美術館が修復し収蔵します。また、複製品を制作し、佐渡市に贈るといいます。


謝代表と渡辺市長は27日、佐渡市内で面会。両市の関係深化に向けた覚書が結ばれました。渡辺市長によれば、高雄市から銅像の返還を願う意向が伝えられた後、市民から意見を募った上で返還が決定されました。渡辺市長は、歴史の記憶が日台の後世に受け継がれていくことに期待を寄せました。


謝代表は、返還の実現は台湾と日本の官民の善意と熱意のおかげだと感謝しました。