11月に台北市内で開かれる「2019台北金馬映画祭」の実行委員会は9月10日、開幕作にチャン・ツォーチ(張作驥)監督の「那個我最親愛的陌生人」、閉幕作にトム・リン(林書宇)監督の「夕霧花園」を選んだと発表しました。
「那個~」はチャン監督にとって2015年公開の「酔・生夢死」以来約4年ぶりの長編作品です。強姦の罪で約2年4カ月服役し、2017年8月に仮釈放されて以降初めての作品となります。認知症を患う夫の病状の悪化に向き合う妻が、刑務所を仮出所した娘の乱れた人間関係や、旧来の知人の来訪によって明らかになった秘密にも直面し、次々に起こる事件によって家庭に嵐が巻き起こっていくという物語が展開されます。チャン監督自身が認知症の母親を介護した経験が作品に盛り込まれています。
チャン監督は同作の公式フェイスブックで、開幕作選出に喜びを示した上で、同作は認知症、家庭、愛に関する映画だとし、「この作品によって観客を温かい旅にいざなえれば」と期待を寄せました。
「夕霧~」はマレーシア出身の作家、Tan Twan Engの小説「The Garden of Evening Mists」を映画化しました。第2次世界大戦後のマレーシアを舞台に、旧日本軍の捕虜だった女性と日本人庭師の男性の交流を描きます。日本人庭師に扮するのは俳優の阿部寛です。シルビア・チャン(張艾嘉)とリー・シンジエ(李心潔)が異なる年代のヒロインを演じます。
リン監督は、「マレーシアで230日間にわたって撮影した同作がいよいよ台湾の観客にお披露目されるのは非常に嬉しい」と喜びのコメントを寄せました。一方で、リン監督にとって全編を台湾以外で撮影した初の作品ということもあり、「期待するかたわらで、(台湾に)戻って成績表をもらうという不安もある」と吐露し、「私と同じようにこの物語によって感動を味わってほしい」と願いました。
同映画祭は11月7~24日に開催されます。チケットの販売開始は10月27日。
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