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陶芸の巨匠 | 林添福

  • 日付:2017-11-20
陶芸の巨匠 | 林添福

林添福は台湾の伝統的な陶芸文化における貴重な保存者で、また、伝統的な陶芸技術伝承でも重要な人物です。竹南蛇窯を立ち上げたほか、多くの台湾の陶芸師を育てており、陶芸技術の伝承と、人材の育成に力を注いできました。2016年、工芸成就奨を受賞し、陶芸文化への貢献が認められました。


1926年生まれの林添福は、祖父の経営する陶器工場で育ちました。13歳で福州の職人について陶芸を学び始め、ろくろ挽き、釉薬塗り、窯づくり、焼き、土練り、形成などの技術を習得し、台湾の工芸史上では数少ないあらゆる技術に優れた陶芸師です。


陶芸とともに七十数年を過ごしてきた林添福は、「土の採取」「成型」「窯づくり」「窯焼き」「形成」「絵付け」など、あらゆる技術に精通しているほか、ろくろを使わない手びねりや原型製作にも長けており、造型の名手でもあります。林添福の製作したテーブルセットや大型急須、鼎、香炉といった作品は、実直で質素ながら、台湾の伝統的な陶器の神髄を表現しており、その堅実な技術と腕前は、見る人を感心させるもので、林添福は、伝統的な陶芸文化の生きた辞典といえます。


林添福は1972年、長さ23メートルにもなる竹南蛇窯を作り上げました。この蛇窯は現在、苗栗では唯一の伝統的な蛇窯となっており、林添福の指揮の下、台湾の薪窯陶芸の重要拠点にもなっています。明るくオープンな性格の林添福は、後進に余すところなく教え、その結果、台湾ではほとんど途絶えていた薪窯陶芸の技術が、活気づき発展しました。この蛇窯は、歴史建築として登録されているほか、薪窯での最高温度として、ギネス記録にも認定されたことがあります。


林添福の作品は福州の職人の技術が基礎となっています。薪窯の技術に、現代と伝統の美しさを融合し、「鏤空双層瓶」や「蟠龍長頸瓶」といった作品は、奥深い陶芸の技術と腕前を示しています。林添福の創作と技術の伝承からは、台湾における陶芸の発展の歴史をみることができ、また、林添福が、数少ない個性を極めた伝統的な陶芸師だということも分かります。


技術革新や社会変化の激しかった50年代、林添福は、時代の変化に合わせて変わっただけでなく、より多様な作風を生み出しました。さらに素晴らしいのは、陶芸への思いと熱意により、工芸技術を磨き上げたことで、伝統文化が衰退していた苦境の中にありながら、現在まで続け、伝統の陶芸文化を輝かせたことです。91歳と高齢ですが、林添福の創作意欲は全く衰えておらず、生活の中で培われた確実な基盤により、陶芸を芸術のレベルに発展させました。林添福が土をひねるとき、まさに陶芸の土に魂が吹き込まれるようです。