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精巧な彫刻を施すこと約70年 木彫り職人・葉経義さんに国家工芸成就奨

  • 日付:2019-11-09
精巧な彫刻を施すこと約70年 木彫り職人・葉経義さんに国家工芸成就奨

伝統工芸で優れた功績を残した人を表彰する「国家工芸成就奨」の授賞式が11月9日、台北市内で行われ、木彫り職人の葉経義さんに同賞が贈られました。葉さんは約70年のキャリアを誇り、台湾で寺廟の彫刻や歴史的建造物の復元に長年携わってきました。首里城の玉座の復元に参加した経験も持ちます。


10代半ばで修行を始め、弟子入りして間もないころから才能を開花させた葉さん。仏像や寺廟の装飾彫刻などの作品の数々はその細やかさで人々を魅了しています。葉さんの作品は伝統を受け継ぎつつ、個性も光っています。修復を手掛けたものには、台北・西門町の紅楼劇場や南部・高雄にある国定古跡、鳳山龍山寺などがあります。


葉さんは授賞式には車いすで出席し、高齢で言葉が不自由なため、息子の光洲さんが代わってあいさつしました。光洲さんは、父の経義さんが数年前に「国家工芸成就奨を取れないことが人生最大の心残り」だと話していたエピソードを明かし、「言葉では表現できないが、とても喜んでいる」と経義さんの気持ちを代弁しました。


葉さんは1991年には日本からの招請を受け、首里城の復元プロジェクトに参加し、正殿の中にあった琉球国王の玉座である御差床(うさすか)や椅子の彫刻に携わりました。光洲さんによれば、琉球国王の椅子の復元で、経義さんが日本側から最初に見せられた試作品は角ばった形をしていたものの、経義さんは国王の肖像画、御後絵(おごえ)を参考に、本当のデザインは曲面の多い「明式椅子」のようなものではないかと推測し、木工や彫刻を手掛けたといいます。


鄭麗君文化部長(文化相)は、経義さんが台湾の工芸の奥深さを世界に見せてくれたとして、最大限の敬意を表すと述べました。