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台湾近代美術史をひもとく伝記シリーズ新刊 大正期の日本人画家も

  • 日付:2019-12-10
台湾近代美術史をひもとく伝記シリーズ新刊 大正期の日本人画家も

台湾の近代美術史をひもとく伝記シリーズ「家庭美術館-美術家伝記叢書」の新刊発表会が12月10日、中部・台中市の国立台湾美術館で行われました。今回は、日本統治時代に活躍した日本人画家、郷原古統など10人が紹介されました。

郷原は1917(大正6)年に台湾に渡り、1936(昭和11)年に帰国するまでの約20年間を台湾で過ごしました。美術教師として人材育成に力を注いだほか、台湾美術展(台展)の創立に関わり、審査員も務めました。

郷原のほか、幼少期から学生時代までを京都で過ごした画家の陳敬輝や先住民プユマ族の彫刻家Haku(哈古)、1949年に国民党とともに中国大陸から台湾に渡り、その後米国に拠点を移した画家、秦松らが名を連ねました。

出版に合わせ、同系列のドキュメンタリーDVD「台湾資深芸術家影音記録片」も発行され、日本統治時代の画家、廖継春や、戦前に普及していた日本画を中国語の「膠彩画」と改名して戦後の国民党政権下で存続させた林之助ら4人が取り上げられました。

発表会に出席した文化部(文化省)の蕭宗煌政務次長は、作品の収蔵やメンテナンスを重視して台湾美術史の再構築を進める同部の姿勢を強調。芸術家と作品のみならず、創作過程で残した史料や生活史などにも目を向けた研究を行っていきたいと意欲を示しました。

同シリーズは、台湾美術の伝承に必要な資料を残すため、行政院(内閣)文化建設委員会(現文化部)が1992年に始動させたプロジェクトで制作が始まりました。2007年にはドキュメンタリーも作られるようになりました。これまでに発行された伝記は今回を含め131冊、ドキュメンタリーは41作品に上ります。